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なぜソニーが? 個人でも使えるようになった、睡眠時無呼吸症候群のリスク計測サービス「Sleep Doc」小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)

» 2024年09月05日 12時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

もっと簡単に測れないのか

 われわれがエレクトロニクス企業として知るソニーという企業は、2021年に2代目となるソニー株式会社に移管し、オリジナルのソニー株式会社はソニーグループ株式会社となった。これを中核として、ゲームや音楽、ハードウェアや半導体、金融などの会社が傘下にある。

ソニーグループの経営体制(ソニーグループ公式サイトより引用

 サプリムの事業を行っているのは、ソニーグループ内で事業開発を行っているスマートライフ事業推進室。主にヘルスケア事業開発を担当している。ソニーグループは、傘下の各会社のセンシング技術を全部活用できる立場にある。

 生体データの取得方法としては、スマートウォッチに代表されるように、PPGセンサーを使うのが一般的だ。時計の裏側からLEDで緑色の光を照射し、皮膚下の血管の血流量の変化をセンサーで測定する。

 もともとソニーでは、スマートフォンなどで広く普及しているIMU(加速度/ジャイロセンサー)を使ってバイタルセンシングができないかという研究を長らく続けていた。14年のCESでは、ウェアラブルセンサーの「SmartBand」や、テニスラケットに装着して打点などを計測する「Smart Tennis Sensor」などを出展している。

CES 2014にてソニーブースで出品された「SmartBand」

 今回ソニーグループが取り組んだのは、このIMUを使って、睡眠時の体の微細な振動、呼吸や脈拍を測定することで、無呼吸及び低呼吸状態を検出できないか、という課題だ。もちろん睡眠時には寝返りをうったり起き上がってトイレに行ったりいろいろな運動が混じるが、こうしたノイズを排除して正確な情報へブラッシュアップすることが必要になる。

 解析アルゴリズムの開発には、臨床試験とのデータの付き合わせや、大学教授との協働などを行い、信頼性を高めた。また計測後のレポート形式にしても、睡眠学の研究者に監修を依頼し、患者自身だけでなく専門医が見ても意味が分かるものに仕上げている。

解析アルゴリズムやレポート内容については専門家が監修している

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