夏に開催された「東京おもちゃショー2024」のタカラトミーアーツブースで「ガチャマシンの歴史」という展示を見た時、ふと気付いた。個々のカプセルトイについては、その進化について取材したこともあるし、実際に自分でも様々なガチャを回して、出てくるカプセルに一喜一憂していたけれど、そのマシンに目を向けたことはなかったことに。
展示を見ると、例えば「上下2面を一体化した新型ガチャマシン」とか、「金庫を1カ所に集約したマシン」「電子カウンターが搭載された高機能マシン」といったキャプションがそれぞれのマシンの横に書かれていたりする。それはユーザーには見えない部分だったり、いつの間にか見慣れて当たり前になっていることがマシン側から見ると大改革だったりと、ただガチャで遊んでいるだけでは、うっかり見過ごしてしまうような部分で、着実に進化していることを表すものだ。
考えてみると、ガチャのマシンとの付き合いは長いのだけど、その構造について考えたことはあまりなかった。大昔、私の子ども時代のガチャは、10円玉を1枚または2枚ハンドルの上にある隙間のようなところに入れると、ハンドルが回せるようになって、ハンドルを360度回すと、小さなカプセルやスーパーボールなんかが出てくるタイプだった。
このタイプは、今でもイベントなどで使われていて、私の身近なところでは、吉祥寺の画廊「リベストギャラリー創」で行われている、猫をモチーフにした表現を集めた展示会「ネコトモ展」での缶バッジ用販売機として、毎年1度は回している。
このお金が見えている状態でハンドルを回すタイプは、仕組みの想像がつく。お金を入れる隙間の大きさや厚みを調整することで、必要な金額を調整できるというのも分かる。
「元々は、1930年代にアメリカで生まれたらしいんです」と、カプセルトイの歴史を話してくれたのは、タカラトミーアーツが、まだユージンだった時代からガチャマシンの開発に携わっていた、現在は生産戦略室の福本始用さんだ。
「アメリカでは、かなり早い時期からカプセルに入ったオモチャが出てくるマシンが流通していたようです。実は、そのカプセルの中に入れるオモチャをアメリカからの発注で作っていたのは、葛飾区近辺(の工場)。『何に使うんだろう、こんな小さなオモチャ』って言いながら作ってたみたいです」と福本さん。
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