その対策のために、内部に重さを検知するセンサーを入れて、乾電池で駆動させるメカニズムを開発。今から考えると、空打ち対策が長い間放置されていたことの方が驚いてしまうが、これは、ガチャの黎明(れいめい)期には、店舗一軒当たりのガチャの設置台数もさほど多くなく、大抵は、店の人が見える範囲で運用されていたことの名残りだったのだろう。
それがスリムボーイ以降はスーパーなどにも大量にマシンが並ぶようになり、偽コイン問題などもあり、空打ちも問題として認識されるようになったわけだ。個人商店の軒先のオマケのような存在だったガチャは、2000年頃から本格的なビジネスになっていく。機械も、それに対応して進化していったのだが、面白いのは、それでも電子化には向かわず、機械式にこだわって現在に至っていること。
ガチャ2で、どうせ電池を入れるならと、何個売れたかが分かるカウンターも付けたそうだが、これは、あまり作業の効率化などにつながらず、カウンターのデータ自体の生かし方も確立しなかったこともあり、現在ではカウンターそのものを付けていないという。
「オペレーターさんから、何個売れたかがすぐに分かるようにしてほしいという要望があったんです。でも、設置台数があまりにも多くなって、いちいち確認できなくなってしまったんです。だったら出荷の個数とか、100円玉の枚数を数えた方が結局早いということになって、カウンターはやめました」と福本さん。
2007年にyujinから発売された「ガチャ2 Ez」は、今も使われている現時点での最新型。2009年に社名がタカラトミーアーツになり、2024年にガチャロゴがリニューアルしたことに合わせて今後シールも変わっていくガチャ2に代わって、2007年に登場したのが、現行のマシンでもある「ガチャ2 Ez」。このマシンでは、空打ち防止の機構も機械式にすることに成功し、再び電池なしの完全無電源のマシンに戻った。
「ガチャ2と、基本は一緒なんですけど、もっとシンプルなものを作ってくれという現場からの要望もあって作ったのがガチャ2 Ezですね。コストダウンも行い、若干高さが低くなったり、幅が狭くなったりしています。あと、どうしても電池はなくしたくて、空打ち防止も機械化しました。一定の重さのものが乗っていないとロックがかかるという機構を機械でやるようにしたんです。別のメーカーさんでは、重さではなく、そのエリアにモノがあるかないかをチェックする機構を、やっぱり機械でやってます」と福本さん。
ガチャのマシンを作っている会社が、機械で物理的に解決する方法にこだわっているのが、ガチャの最も面白いところだと思う。電子的なセンサーを使えば簡単に実現する機能も、どうにか物理的な仕掛けで解決しようとする、その姿勢が初期から一貫しているのだ。
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