ITmedia NEWS > 製品動向 >
STUDIO PRO

ソニーの謎ソリューション「Contents Production Accelerator」、よく分からなかったので詳しい話を聞いてきた小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/3 ページ)

» 2024年12月18日 13時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

“注文建築”から“建売”へ

 そこでソニーでは、局の都合に合わせた一点ものではなく、どうせならもう少し汎用性の高いシステムに入れ替えませんか、という提案を考えたわけだ。

 「Contents Production Accelerator」を担当するソニーマーケティング B2Bプロダクツ&ソリューション本部の統括課長 庄野 雄紀氏は、この考え方を独特の言い回しで表現する。

ソニーマーケティング B2Bプロダクツ&ソリューション本部の統括課長 庄野 雄紀氏

 「従来はお客様に対して、重厚長大な”注文住宅”を作るっていう世界だったんですけど、 ある時から標準的なモデルを組み合わせることによっても、お客様のニーズをより効率的に満たすことができるっていうところが見えてきたんです」

 例えば「Ci Media Cloud」は、わざわざカスタマイズしなくても、そのままの機能で多くの映像制作会社やハリウッドの映画制作会社には受け入れられている。放送局の報道においても、生放送というタッチーな部分の直前、編集支援システムのところまでは標準モデル、すなわちSaaSでいけるんじゃないか、という話である。

 SaaSのメリットは、その代表選手であるMicrosoft 365を考えれば分かりやすい。現在ビジネスシーンではメインストリームとも言えるオフィスツールだが、標準的な機能でビジネスは十分に回るし、特殊な用途に関してはマクロを組んだりプラグインの追加でカバーできる。アップデートが行われれば、全てのユーザーに恩恵がある。何より、特注開発よりも圧倒的に安いし、出来上がったものを入れるだけなのので、開発期間という待ち時間も実質ゼロだ。

 開発するソニーにもメリットがある。これまで一点もののメンテナンスのために、開発環境や開発資料、技術者を10年以上キープしなければならなかった。いつお呼びがかかるか予測できないが、もう10年前なんで分かりませんと投げ出すわけにもいかない。そうしたメンテナンスのための「維持」が不要になる。SaaSなら常に最新システムだけを面倒みていけばよくなる。

 「Contents Production Accelerator」は、報道編集支援のバックボーンプラットフォームというか、いわば1つのパッケージ商品となる。編集システムは、報道系で採用の多いEDIUSにまず対応し、その後順次他のソフトウェアも対応していくという。EDIUSはさまざまなファイルフォーマットをネイティブで読めるところにメリットがあり、プラットフォーム側ではただ素材を変換せずそのまま通せばいい事になる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

あなたにおすすめの記事PR