小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
放送システムを「ソフトウェアベース」で作るには FOR-Aならではのアプローチと、“フルIP化”への懸念(1/3 ページ)
FOR-Aこと朋栄は、放送機器の中ではメインのスイッチャーも作っているが、もともとは各種映像周辺機器に強いメーカーである。シグナルプロセッサ、コンバーター、キャラクタージェネレータ、ルーティングスイッチャーなど、放送に必要な周辺機器が何でもそろっている点では、システム内では一番柔軟な対応が求められるメーカーでもある。
2020年のコロナ禍や働き方改革といった流れ、あるいは地方におけるハードウェア技術者不足により、テレビ局内のワークフローは大きく変える必要性が出てきた。FOR-Aでも過去10年来続くIPソリューションに対応すべく、ビデオサーバなども製品化しているが、ここ2~3年で急速にハードとソフト両対応を進めている。
そうしたFOR-AのDNAというか、これまでの知見の集大成のような製品が、「FOR-A IMPULSE」である。24年のInter BEEではそのUIも含めて初めてプラットフォームが披露され、注目を集めた。
FOR-A IMPULSEでは、FOR-Aが得意とする周辺機器は全てソフトウェア化された「ノード」という形で組み込まれている。スイッチャーでさえノードの一部だ。そしてそれらのノードを、UIであるGraphEditor上で「配線」していき、ライブ中継・配信等に最適化された放送システムを作り上げる。こうして作られたシステムは、「パイプライン」と呼ばれる。このパイプラインは複数制作することができ、さまざまな規模や機能のセットを、パイプラインの切り替えで使っていくというイメージだ。
従来のSDI型ライブ放送では、その規模に応じてサブを用意し、スイッチャーを中心に入出力の接続、周辺機器が足りなければ別の部屋や機材庫から持って来てケーブル配線やパッチベイ対応するなど、事前準備に大変な手間と労力がかかっていた。もちろんそれには人手も必要だし、システムを組み上げる知識を持った人が少なくとも1人はセットアップを指揮する必要がある。
こうしたシステム構築は、あらかじめ配線図を紙で作っておき、それを実機上に移していくといった方法が取られる。規模が大きくなるほど、実際にどの信号がどこの何番にきているのかといった対応表がなければ、手が付けられないからだ。
さらに言えば、周辺機器は必要になるかもしれない最大限の台数を保有しておかなければならず、中には1年も2年も使われないという機材も出てきていた。
一方FOR-A IMPULSEでは、各機材はIN/OUTがあるノードになっており、それらの配線は全てGraphEditor上でつないでいくだけである。ノードの接点にマウスオーバーすると、そこに来ている映像がサムネイルで表示される。実際に何が来ているのか確認しながら配線できるので、頭の中で考えているシステムイメージを表出させるツールとしても使える事になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
クラウド活用にリモート編集環境と、映像にまつわるプロフェッショナルの分野にDXの波が押し寄せている。プロの現場で何が起こっているのか。最新のITトピックを小寺信良氏が解説する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
2
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
3
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
4
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
5
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
6
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
-
9
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
10
「漏えい」の一言で素通り客が振り返る──相次ぐ情報流出の中で開幕のセキュリティ展示会 来場者の態度も激変
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR