ソニーの映像制作者向けクラウド、Ci Media Cloudは、これまでカメラからの素材アップロードや素材共有、アーカイブなどで利用されてきたが、昨今はノンリニアツールと直接連携する拡張機能を提供することで、編集作業とクラウドが直結できるようになってきている。
これまでAdobe Premiere ProやAVID用拡張機能を提供してきたが、2025年2月にはDaVinci Resolve Studio用が公開された。利用は無料だが、DaVinci Resolve側は有償版のStudio 19.1以上が必要となる。
DaVinci Resolveの開発元であるBlackmagic Designでも専用のクラウドサービス「Blackmagic Cloud」が用意されており、カメラアプリ「Blackmagic Camera」などを使ってオンラインで撮影画像をアップロードできる。もちろんそれがDaVinci Resolveとも連携するわけだ。
一方Ci Media Cloudは、ソニー製のカメラからのオンラインアップロードに対応するのが最大の特徴だ。これがDaVinci Resolveとワークフロー連携できることになった。
DaVinci Resolveは、カラーグレーディングが強い事から映画制作でよく使われているイメージだが、昨今はNHK番組制作がメインNLEとしてこの4月から導入するなど、放送番組分野でも広がりを見せている。この拡張機能を使う事で何ができるのか、試してみた。
Ci Media Cloudの拡張機能が提供しているのは、Ci上のクリップをDaVinci Resolve上で扱えるようにしたり、Ci上でクリップに添付したコメント情報を共有したりすることだ。
これまでDaVinci Resolveでは、サードパーティー製のアノテーションツールとして、Dropbox Replayと連携できた。一方Ciの場合は、素材ストレージとアノテーションツールが一体となっているところがメリットだ。その点ではBlackmagic Cloudに近い。Blackmagic Cloudは、以前動作検証しているので、そちらの記事も合わせてご覧いただきたい。
拡張機能をインストールしたのち、DaVinci Resolve Studioを起動し、「ワークスペース」メニューからワークフローの統合-Ci Media Cloudを選択すると、Electronという別アプリのウィンドウが開いて、ログイン画面が表示される。いったんブラウザでログインし、ファイルアクセスを許可すると、自分のワークスペース画面が表示される。
このElectronアプリの画面が、Ci Media Cloudへのアクセスウィンドウとなる。よってDaVinci ResolveとこのElectronのアプリの2画面に常時アクセスできるよう、並べておく必要がある。これまでの他社ツール連携は、DaVinci Resolve画面内にインテグレートされる格好だったのに対し、別アプリ間のドラッグ&ドロップで連携させるというスタイルだ。
Ciへのアップロードは、このElectronアプリのウィンドウにOSファイルブラウザからドラッグ&ドロップすれば可能ということだが、筆者の環境ではこの機能は動かなかった。別途ブラウザからCiへログインして、そこからのアップロードは可能だった。
Ciへアップロードされた素材クリップは、DaVinci Resolveのメディアプールやタイムラインへ直接ドラッグ&ドロップできる。
このとき、クリップはローカルにダウンロードされるわけだが、この解像度はElectronアプリ側で設定できる。「オリジナル、最高、最低」の3タイプがあり、オリジナル以外はプロキシファイルとなる。最高で960×540、最低で480×270となるようだ。オリジナルはそれなりに同期するのに時間がかかるが、プロキシの同期は一瞬である。
この解像度変更は、クリップごとにも指定できるし、全てのクリップ一括で変更することもできる。なおローカルでプロキシを使用している場合と違い、このプロキシファイルはレンダリング時にオリジナル解像度に差し替わるわけではない。
よってディレクターやクライアントと編集結果を共有し、アノテーションしてもらう場合にはプロキシファイルで、最終完パケを出力する際にはオリジナルソースに設定変更してレンダリングする必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR