米NVIDIAは15日、米政府から輸出規制の通知を受けたことを明らかにし、55億ドルの費用を計上すると発表した。同社の株価は16日に7%近く下落し、時価総額が1480億ドル以上吹き飛んだ。
同様に輸出規制により8億ドルの費用を計上する方針を示した米Advanced Micro Devices(AMD)も5.8%下落。英Arm、米Broadcom、米Micronを含むAI関連半導体銘柄は2.5〜4.6%安となった。
米Running Point Capitalのマイケル・アシュリー・シュルマン最高投資責任者(CIO)は「H20に対する輸出規制は、特にトランプ政権の政策転換の下でのハイテク・半導体セクターを取り巻く地政学的な不確実性の高まりを浮き彫りにしている」と指摘。「NVIDIAの株価急落や半導体株全体への広範な圧力が示すように、この予測不可能性は企業や投資市場を混乱させている」と述べた。
米Bernsteinのアナリスト、ステーシー・ラスゴン氏は「H20は、(中国での売上高として)約120億ドルを占め、1株利益の約30セントに相当する。わずかではないが、全体から見れば莫大なものではない」と分析。さらに「H20の性能は低く、すでに中国で入手可能な代替製品を大きく劣っている。H20が規制されれば、中国のAI市場は事実上Huaweiに明け渡されるだけだ」と述べた。
H20に対する輸出規制のニュースを受け、半導体企業やサプライヤーの株価が下落した。NVIDIAのサプライヤーであるアドバンテストは5%安となった。韓国ではSamsung Electronicsが約3%、SK hynixは4%それぞれ下落した。欧州のASM InternationalとInfineon Technologiesはいずれも2%以上下落した。
一方、一部のアナリストは大手クラウド企業からの半導体需要は依然旺盛であり、NVIDIAの売上高は大幅な伸びが続いていると指摘する。米TD Cowenのアナリストは、NVIDIAの最新のAI半導体「Blackwell」が同社の業績をけん引しているとの見方を示した。
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