編集ツールは、少なくとも撮影された映像素材が必要になる。撮影には台本や出演者が必要で、もちろんカメラやマイクも必要になる。これらを全て自分ひとりでこなす人もいるが、顔出ししたくない、あるいは自分で喋りたくないという人もいるだろう。
そういう人には、ネタさえあればAIに動画コンテンツを作らせるという方法がある。AIに台本を作らせて、それをベースにAIで画像生成され、音声の読み上げもAIモデルを使用する。
まず「新規で作成」で「テキストから動画を作成」を選び、ビデオスタイルを選択する。今回は「情報伝達スタイル」を選んだ。
次の画面で動画のテーマを入力する。今回は「夏を前にしたそうめんのおいしい食べ方3選」としてみた。台本のプロンプトに、AIに作らせたい内容を入力する。
文字数を指定することで、動画の長さが決まる。「AIで作文」をクリックすると、AIが台本を作成してくれる。
次のページでは、AI画像のスタイルや音声モデル、BGMのタイプを選択する。「完了」をクリックすると、自動で動画生成が始まる。動画生成とはいっても静止画によるスライドショーであるが、音声のナレーションと字幕が入れば、もう動画コンテンツである。このプロンプトで作成した動画をご覧いただく。
画像生成AIがそうめんを学習していなかったようで、中華麺みたいになっているが、内容的にはまともである。実際に考えたことといえば、そうめんのレシピ3つを紹介するというアイデアだけだ。レシピすら自分で考えていない。
これはかなりの驚きだ。自分でもう少し台本を書き込めば、完全に撮影なし、ナレーション収録もなしで動画コンテンツが作成できる。このままSNSに公開できるレベルだ。
また映像制作者にとっても、取りあえず撮影前にこんな感じで、というあたりをつけるためのプリプロダクションとしても使えるのではないだろうか。
さまざまなAIツールをかき集めて組み上げれば同じようなことはできるだろうが、1つのツール内でワークフローになっているツールは、他に見たことがない。音声動画編集ツールとして登場したVrewだが、ここにきてAI動画制作ツールに変わってきた。
もちろん、映像も静止画ではなく動画の方が望ましいだろうが、静止画だととにかく完成までが早い。修正を加えて再生成させても大した時間はかからない。また細かい部分は従来通りの編集機能を使って修正していける。
作成中のプロジェクトは、クラウドに保存することもできる。共有設定しておけば、別の人が続きを作ったり、細かい修正を加えたりすることも可能だ。なお以前のバージョンは、クラウドにあげたプロジェクトをいったんダウンロードしなければ編集できなかったが、3.0ではクラウド上で直接編集できるようになった。現在はオリジナル解像度そのままで編集するが、今後はプロキシ編集にも対応予定になっている。ネットワークがプアな環境でも編集できるようになるはずだ。
もともとVoyager Xは、映像制作支援をメインにした会社ではなく、AI技術を活用して誰もが簡単に使えるサービスを開発することを目的とした企業だ。素材なしでコンテンツが作れるという方向性も、同社にとってみれば突然変異ということではない。
SNSがテキストから動画コミュニケーションへシフトしようとしている現在、こうしたAIオールインワンツールは、もっと流行っていいのではないだろうか。
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