一般社団法人ダークパターン対策協会は7月15日、今秋スタートする「NDD(Non-Deceptive Design:非ダークパターン)認定制度」に先立ち、「NDD認定マーク」と企業向けの「自己審査チェックシート」を公開した。また消費者から悪質だと感じたWebサイトの情報提供を受け付けるホットラインも開設している。
NDD認定制度は、協会が策定したガイドラインに沿ってWebサイトを審査し、合格するとNDD認定マークを表示できるというもの。Webサイトと運営業者の誠実さを示すバロメーターとする考えだ。
ダークパターンは、Webサイトやアプリなどで、消費者の意思に反して製品やサービスを購入させたり、知らぬ間に定期購入にさせたりといった事業者に有利な行動へ意図的に誘導する仕組みや手法のこと。同協会の試算によると「ダークパターンにより、年間およそ1兆円の被害が出ている」(小川晋平代表理事)という。
さらに健全な市場競争を損なうリスクも指摘。「誠実なサイトが(悪意のあるサイトに)負ける。正直者がバカをみる。それはいけない。NDD認定制度で誠実な企業が一目で分かるようにして、消費者の被害を減らす」と認定制度の意義を語った。
同協会は今年1月にガイドラインのバージョン1を公開。意見公募などを通じてブラッシュアップし、現在はバージョン1.1になっている。
NDD認定審査は、1)事業者による自己審査、2)協会が指定する認定審査期間による一次審査、3)、協会の企業審査局による最終審査という手順になっており、ガイドラインと今回公開した自己審査チェックシートにより、企業は自己審査を進められる状況になった。協会による審査受付は10月に始める予定だ。
審査を通った事業者がWebサイトなどに掲載するNDD認定マークは、審査対象となる3つの領域(組織的対策、クッキーバナー、購入前最終確認画面)にそれぞれ設定した。またマーク右下のバーは、初年度にブロンズ、2年目の更新後はシルバー、3年目の更新以降はゴールドと、ステータスがアップしていく形になっている。
マークは協会のサーバから配信し、JavaScriptでWebサイトに表示する仕組み。これにより「完全な改ざん防止は困難だが、マークをクリックした時に認定情報が表示されるかどうかで(真贋を)判別できる。認定番号は協会のサイトでも確認できる」など、消費者がマークを確認する手段も用意した。
15日に開設した「ダークパターン・ホットライン」は、消費者が悪質と感じたダークパターンの情報を集めるためのWebフォーム。基本的には、寄せられた情報を整理し、3カ月に一度、統計情報を公開するためのもので、事業者へのクレームを協会が代行したりはしない。ただし、その事業者が明らかに法を逸脱していたり、悪質だったりした場合には、協会から消費者庁などの関係省庁や金融機関へ情報提供する場合もあるという。
「消費者のリアルな声を集めて企業と消費者に注意喚起する。消費者には流行りの手口を、企業には消費者がどんな時に嫌な思いをしているのかを知らせる。実態の把握を通じてガイドラインへも反映し、政策提言も行っていく。社会全体のルール形成にもつながる重要な仕組みだ」。
なお、MDD認定を受けたサイトでダークパターンが確認された場合は30日以内に是正を求め、改善されなければマークを取り消す。また是正期間中にはマークの上に「Under Review」と表示する。
この他、子どもや高齢者がダークパターンに騙されることを防ぐため、各年齢層に向けた啓蒙動画を製作していることも発表した。子ども向けの動画は消費者庁や文部科学省のレビューを経て作成しているという。公開は秋の予定で、学校などでも自由に活用できる。
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