メルカリなどのフリマサイトで、富士フイルムの35ミリフィルム「FUJIFILM 200」を買ったところ、パトローネ(写真フィルム用の筒状容器)に、一般的な方式での現像ができない映画用フィルムを詰めた“別物”だった──Xでこんな問題が注目を浴びている。街の写真店などで気付かずに現像すると、機材トラブルにつながる可能性もある。
きっかけとなったのは、Xに投稿された現像所関係者によるポスト。メルカリなどで、正規の富士フイルムパトローネにC-41現像(カラーネガフィルムの一般的な現像方法)ができないフィルムが詰められて出品されている例があるとして、「現像機に入れてしまうと大きなトラブルになります」「もし買ってしまった方は撮影しないでください」とフィルムカメラ愛好家に呼びかけるものだった。これを受け、他の愛好家からの注意喚起も相次いでいる状況だ。
注意を呼び掛ける愛好家の一人、ちむに〜(@ChimneySwe_eper)さんも、趣味として映画用フィルムの現像依頼を請け負っていたところ、実際にメルカリで購入されたフィルムが持ち込まれたと話す。
依頼者はメルカリでフィルムを購入し、手に入れたフィルムでの撮影を終えた後、店舗での現像を断られたことで異変に気付いた。出品者を問い詰めたものの、商品ページを削除されてしまい、連絡が取れなくなったことから、ちむに〜さんに相談するに至った。
ちむに〜さんのもとに持ち込まれたフィルムのパトローネはFUJIFILM 200のものだったが、中身はKodakの映画用フィルム「VISION3 250D(EASTMAN 5207)」と「VISION3 50D(EASTMAN 5203)」だった。いずれも「ECN-2」という映画用フィルム専用の現像プロセスが求められるもので、一般的なカラーネガ現像(C-41)とは方式が異なる。出品ページの説明欄には、詰め替え品であることやVision3であることを示す記載はなかったという。
現像結果は良好だったものの、ちむに〜さんは「映画用フィルムをC-41自動現像機に流してしまうと、レムジェット層(フィルムベースにある炭素の膜)が溶解し、現像液を汚し、機械を破損させてしまう恐れがあります」と指摘。Vision3については「ベース面が真っ黒なので目視で判別できる」というものの、知識のない作業員がそのまま機械にかけてしまうケースもあり得るとして、「万が一、事故が発生してしまうと、フィルムを持ち込んだ方へ損害賠償責任が発生する可能性もある」と注意を呼び掛けた。
このような「出品ページが削除されてしまった」ケースでも、フリマサイトは対応してくれるのか。ITmedia NEWSが問い合わせたところ、メルカリは今回のような「偽造品の出品」や「商品説明・画像と異なる商品」の発送行為は、同社の禁止行為に該当すると説明。「取引の安全性を確保できないと判断した場合には、確認次第、取引キャンセル・商品削除・利用制限等の対応を実施している」とした。
さらに7月に導入した「全額補償サポートプログラム」によって、偽造品や説明と異なる商品の購入被害は補償の対象となる場合があると同社。商品ページが削除された場合でも、過去の購入履歴などから事務局に問い合わせることができる他、出品アカウントへの通報も可能という。メルカリは「取引状況を踏まえ対応を検討するので、可能な限り正確な情報の提供をお願いしている」とコメントした。
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