米国株式市場は主要3指数がいずれも下落して終了。ナスダック総合とS&P総合500種が下げを主導した。人工知能(AI)支出の急増に対する懸念から米Metaや米Microsoftが売られた他、米連邦準備理事会(FRB)の金利見通しを巡る懸念が重しとなった。
Metaは11.3%急落。1日の下げ幅としては過去3年間で最大となった。10月29日の決算発表で、2026年の設備投資について、AIへの投資により、25年の水準を大幅に上回るとの見通しを示した。
Microsoftは2.9%下落。 第1四半期(7〜9月)の設備投資額が過去最高の350億ドル近くとなった他、25年度の設備投資が増加するとの見通しを示した。
一方、米Googleの親会社米Alphabetアルファベットは2.5%上昇。主力の広告事業とクラウドコンピューティング事業の安定的な成長を背景に、第3四半期決算が予想を上回った。
FRBは28〜29日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%ポイント引き下げた。ただ、パウエル議長は12月会合での追加利下げは「既定路線」ではないと発言。これを受け、市場が織り込む12月の利下げ確率は今週前半の90%超から約70%に低下した。
248ベンチャーズのチーフストラテジスト、リンジー・ベル氏は「市場はこれまでの上昇後、リスクオフムードとなっている。S&P500は史上最高値に近い水準にあるが、今回のテクノロジー企業の決算は、その高い期待に応えるものではなかった」と指摘した。
S&P500の主要11業種では7業種が下落。一般消費財が2.6%安と下げを主導した。不動産は0.7%上昇し、上昇率トップだった。
半導体大手米NVIDIAは2%下落。前日には上場企業として世界で初めて時価総額5兆ドルを突破していた。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は30日の会談で、貿易を巡り合意したが、この日の株価の支援材料にはほとんどならなかった。
トランプ氏は30日、中国が米国産大豆の購入を再開し、レアアース(希土類)の輸出を継続するほか、合成麻薬フェンタニルの違法取引を取り締まることを条件に対中関税を10%引き下げ、47%にすることで合意したと明らかにした。
ブランディワイン・グローバルのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「良いニュースがあっても市場が反応しないのは、それがすでに織り込まれているからだ」と語った。
引け後に決算を発表したアマゾン・ドット・コムは時間外取引で9%上昇。クラウドコンピューティングサービスへの旺盛な需要が電子商取引事業の伸び悩みによる影響を補った。Appleも時間外取引で上昇。iPhoneの好調な販売見通しを受けた。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.1対1の比率で上回った。ナスダックでも1.98対1で値下がり銘柄が多かった。
米取引所の合算出来高は204億2000万株。直近20営業日の平均は210億8000万株。
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