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"非クリエイター層"に本腰のAdobe 生成AIで激変するクリエイティブ領域、それを担うAI戦略とは小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(3/3 ページ)

» 2025年11月13日 16時30分 公開
[小寺信良ITmedia]
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クリエイティブにAIをどう持ち込むか

 現時点において、プロクリエイターがAIを使ってコンテンツを作ったと公言するのは、自らの価値を毀損しかねない状況にある。よってAIの利用は、本番制作前のプリプロダクションの段階に限られる傾向にある。

 Adobe Fireflyでは、自社製AIだけでなく多数のパートナーモデルが使用できるようになった。個別に利用契約する必要もなく、生成クレジットもAdobeのクレジットが利用できるため、無駄がないのが特徴だ。

新たに使用可能になったパートナーモデル一覧

 もちろん、プロンプトを入力してゼロから画像生成させることも可能だが、そうした手法はノンクリエイター向けのAdobe Expressのデモで紹介された。

 一方でプロ・クリエイター向けとしては、素材はオリジナルコンテンツを食わせて、それを合成するためにAIを使うという方法論が紹介された。この2つのアプローチの違いは、デモの中で慎重に区別されていた。

 「Firefly Boards」は、アイデアを練るためのプリプロダクションツールだが、素材として自分の作品や自分で撮影した写真を取り込み、それらを複数の生成AIで合成処理のバリエーションを作ることができる。AIによってテイストや得意分野が違うため、結果が異なるわけだが、そうしたことも比較検討できる。

Firefly Boardsでは、パートナーAIモデルを駆使して多数の合成バリエーションをテストできる

 オリジナル素材から合成は、従来はマスク切りしてレイヤーで合成するという手法が一般的だったが、例えばPremiereではワンクリックでオブジェクトマスクを生成したり、あるいはPhotoshopではAIアシスタントの導入により、マスク切り自体をAIにやらせるという方法を提示した。

Premiereではワンクリックでオブジェクトマスクを生成する機能を実装
PhotoshopではAIアシスタントにより、自動のマスク生成からレイヤー分けを実現

 Illustratorによるベクターモデリングの可能性も示唆された。最新版のIllustratorでは、一度作った2Dのベクターモデルを、3Dオブジェクトとして自由に回転させられる「ターンテーブル」という機能が実装された。これもAIを使った機能拡張の一つである。

2Dのベクターモデルを自由に回転させられるターンテーブル機能

 デモで示されたのはここまでだったが、回転して別角度から見たイラストをAIに読み込ませ、写真風にして出力するといったこともできるはずだ。こうした方法論は、CGの3Dモデリングに代わる手法ということもできる。

 3Dモデリングはこれまでポリゴンモデリングが主流で、ベクターモデリングは難易度が高いことから、あまり浸透していない。だがもともとIllustratorが使えるデザイナーが、3DCGモデラーを兼任する時代の到来も予見できる。

 もう一つAIの利用方法で示された方向性が、簡易アニメーション化だ。Adobe Expressでは、出来上がったデザインに対して簡易的に1〜2秒の動きをつけるというデモが多用された。つまりパブリッシングは紙ではなく、Webであるというメッセージである。DTPツールであるInDesignにもアップデートがあるが、キーノートでは紹介されなかったことからも、今回はWeb上でのパブリッシングを重視したということだろう。

 実際生成AIも、印刷に耐えられるほどのDPIで処理・出力できるものはほとんどないことから、現時点ではビデオサイズやバナーサイズ程度の解像度でぶん回すという方向性にある。逆に言えば、DTP解像度でAI処理が行えるような技術開発や市場開拓は、Adobe以外には不可能である。そこは競合もないことから、落ち着いて見ていられる分野だ。

 次回は、キーノートやSneaksで発表された新技術を中心に、プロ・クリエイターのワークフローがどう変わっていくのか、またそれによって表現がどのように広がるのかといった可能性について、ご紹介したい。

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