ここで重要なのは、プライバシーを保護しながら、自分のデータと対話できるという点です。仕事や文書の内容によっては、どうしてもローカルAIしか使えないというケースがあります。企業の機密情報、顧客データ、契約書、未公開の研究資料など、クラウドAIに送信することが許されないデータは少なくありません。そうした場面で、ローカルで完結するAI機能は、単なる「便利な機能」ではなく、「唯一の選択肢」となります。この価値は計り知れません。
AI機能の実際を見てみましょう。AI検索機能では、画像、音声、動画、文書を自然言語で検索できます。「夏の海の写真」といった曖昧な言葉でも、関連するファイルを見つけ出してくれます。AIカテゴリー機能は、AIによる自動分類で、カスタマイズ可能なカテゴリーに整理してくれます。
ナレッジQA機能は、動画、音声、文書を横断して質問に回答してくれます。例えば「今週書いた原稿だけ教えて」といった質問をすれば、関連するファイルを探し出してくれます。まさに、自分だけのパーソナルアシスタントといえるでしょう。
もちろん、過度な期待は禁物です。繰り返しますが、最新のChatGPTやGeminiのように動いてくれるわけではありません。しかし、今後、さらに軽量で高性能なローカルLLMが登場したり、自分にマッチした最適化ができれば、当然今よりも使いやすくなるだろうという期待も膨らみます。
使っていて少し気になった点もあります。PCのブラウザで操作している際に、マウスに割り当てた「戻る」ボタンを押すと、処理が中断してしまうことがありました。マウスにブラウザーバックのボタンを割り当てている人は、それなりにいると思います。
ということで、PCでの利用の際は、専用アプリでの利用をおすすめします。Windows版とMac版が提供されています。もちろんWindowsの場合、SMB接続でエクスプローラー上でファイルコピーするという手もありますが、それだとNASのタスクの進捗や他の内容を確認しにくいのがデメリットです。
Zettlab AI NAS D4は、まずNASとして優秀です。箱に入っている状態から、セットアップを終えて、ファイルコピーを始めるまでのスムーズさは、これまで触ってきた中でも歴代1位です。基本性能も高く、今どきのNASとして十分に使えるレベルにあります。卓上で使える静音性とデザイン性もおすすめできる点です。
その上で、AI機能も単なるおまけではなく、ローカルLLMが動作することで、プライバシーと利便性を両立しています。今後、ソフトウェアアップデートでNASの基本性能の向上だけでなく、AI部分の強化もされていくことが期待できます。この先、例えば半年後にびっくりするような新しいAIモデルが登場することだってあり得るのが現状ですから。
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