本稿では以前から、日本語変換・入力とAIの関係を考えている。2024年にはAIの劇的な進化がなかなか日本語入力に生かされていない現状があるのではないかと指摘した。2025年にはAI技術を全面的に活用した「azooKey on macOS」を紹介した。
サードパーティーの日本語入力システムとして人気が高いATOKでは、すでに1993年からAI変換をうたってきた。しかし2017年にディープラーニングを取り入れたところ、かえって誤変換が増えるといった現象もみられた。日本語入力にAIを使うというアプローチにもさまざまな方法論があり、またそれぞれに課題もあるということだろう。
現在日本語入力は、OSに標準で付属しているもので十分と感じている人も多いと思われるが、米Microsoftでは2025年10月に新しい日本語入力システム、「Copilot Keyboard」のβ版の提供を開始した。昨今Microsoftは同社提供ソフトにCopilotを組み込む方向にあるが、これもその一環ということだろう。
ここ1週間ほど、Copilot Keyboardを試用して原稿を書いているが、それほど深刻な問題も発生しておらず、このまますんなり現在のIMEから置き換えられていくものと思われる。今回はCopilot Keyboardとはどういうものかをご紹介したい。
Copilot Keyboardはまだβ版であり、MS純正とはいっても標準のIMEを置き換えてしまうわけではない。日本語入力システムとしては2つになるということだ。入力システムの切り替えは「Windowsキー+スペース」となっている。日本語・英語の入力切替はIME同様、「半角・全角キー」や「Alt+CapsLock」キーで切り替えられる。
設定画面を一通り見ておこう。「外観」では、標準のほかに3種類のスキンが選択できる。変換ウィンドウのデザインが変更されるとともに、デスクトップに動物などのキャラクターが表示される。正直ノートPCなどの小さい画面内にキャラクターがオーバーレイしてくると邪魔なのだが、まあなんとか楽しげにしたいという気持ちは受け取っておく。
キャラクターはドラッグして自由な位置に配置できるが、入力に応じて何かしてくれるわけでもないので、Microsoft Office 97のイルカより役立たずである。キャラクターはOFFにもできるので、まあたいていの人はOFFにするだろう。将来的にスキンをユーザーが作って公開できるようになったりすれば、何らかの広がりが期待できるかもしれない。
全般設定では予測入力として、何文字タイプしたら変換候補を表示するかが決められる。ここでは最長の5文字に設定しているが、ローマ字入力の場合はアルファベット5文字で表示されるので、正確には「5キー」である。「お疲れ様です」みたいな定型文は「おつか」ぐらいまで入力すると候補が出てくるので、TABキーで選択すればいいようになっている。
候補が出るということは、当然ながらライブ変換ではない。個人的にはAI変換のうまみはライブ変換にあると考えているので、いちいち候補が出てくるという現在の仕様は若干残念である。
予測変換は、システム辞書とクラウドからの候補が選択できる。クラウドによる候補の場合は、横に「雲のアイコン」が表示される。ただ一般的な文章入力では、クラウド変換が使われるケースはほとんどないようだ。システム辞書にはないような単語や新語の場合のみ、クラウドを参照するようである。
「学習と辞書」の設定では、「入力した内容に基づいて入力精度を向上」というスイッチがあるのみで、まだユーザー辞書のインポートや単語登録といった機能はない。これらは今後整備されるだろう。ただ自動学習能力は高く、一度変換した候補は次からは最初に表示される。いつまでも自分の癖を覚えてくれないという悩みはなさそうだ。
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