「希土類元素」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 「レアアース」と言い換えれば、多くの方が一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、その正体は何でしょうか? あまり知名度の高くない希土類元素ですが、“産業のビタミン”と呼ばれるほど、その存在は私たちの生活に欠かすことができません。
この記事では、希土類元素について、その分類や用途、課題に関する基本的な点を振り返っていきます。(※本記事では、唯一の放射性元素であるプロメチウムには当てはまらない話があります。あらかじめご了承ください)
「希土類元素」とは、全部で17種類の元素の総称です。希土類元素は、英語の名称「RareEarthElement」の翻訳であり、そのまま片仮名に転写した「レアアース」と呼ばれることもあります。
希土類元素は、軽い元素から順にスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)と続きます。
スカンジウムとイットリウムを除いた全15種類の元素は、希土類元素の中でもさらに似ているという関係性から、総称として「ランタノイド」(“ランタンもどき”の意味)と呼ばれています。
ちなみに、名前としてはレアアースと似ているように見える「レアメタル」は、実際には希土類元素を内包する、全く異なる用語です。レアメタルは「地球上の存在量がまれであるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属」であり、現在では31種類の元素が指定されていますが、ここで希土類元素は全17種類を1種類として数えています。
希土類元素とレアアースは自然科学分野の用語ですが、レアメタルは日本の経済産業省が定義した経済学分野の用語であり、日本独自の和製英語とも言えます。
また、希土類元素は「軽希土類元素」「中希土類元素」「重希土類元素」の分け方をされることがあります。ただしこれは厳密な定義があるわけではなく、資料によって区切り方が異なります。また、その分類は化学的性質によるものであるため、軽い元素であるスカンジウムとイットリウムが重希土類元素にまとめられているなど、直観に反するような定義もあります(図1を参照)。
希土類元素は、その大半があまり知られていません。恐らく一般に知られているのは、元素名がそのまま磁石の名前になっているネオジムのみでしょう。その理由は、希土類元素を1つの用途に大量に使用することがあまりないためです。
しかし、希土類元素は“産業のビタミン”と呼ばれているように、使用量こそ少ないものの、それぞれの用途で欠かすことができない存在となっています。希土類元素を使う用途は、それを使わなければ機能しないか、機能しても大幅に性能が落ちることがよくあります。希土類元素が産業界で重視されるのはこれが理由です。
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