千葉工業大学の趙孟佑教授(惑星探査研究センター主席研究員、工学部機械電子創成工学科教授)に、BOTANの状況を伺ったところ、太陽フレアの影響で一気に10kmも高度が下がったという。「これまでは一日0.8km下がるところ、今回のフレアで約10km程度下がってしまいました。直近の高度は345kmになります(26日時点)。なお、300kmを切ると衛星の電波を止めます。300kmから200km到達までは数日で達してしまい燃え尽きます。そのためこの10kmの影響はとても大きいです」。大気圏への再突入は3月中旬と予測しているという。
運用期間が短くなったことで、現在挑戦中のミッションも猶予期間が減ってしまった。ただ、目的の一つでもあった太陽フレアの影響調査について言えば「活発化に伴うオーロラの観測を試みています。現在はオーロラの撮影を試みた画像を衛星からダウンロードしている最中です」と、貴重な観測機会にもなったようだ。
とはいえ、太陽フレアが宇宙開発を志す研究者や学生にとって、大きな障害になり得ることも事実。趙教授は「太陽フレアは自然現象ですので、これを逃れる術はありません。人類は太陽と共に進化してきました。ただ、それはこれまで地上にいての話であり、人類の活動域が宇宙に広がった今、太陽との付き合い方も変わってくるのだと思います」としている。
高度技術者育成プログラムの担当研究員・原田さんは、今回の太陽フレアとBOTANへの影響について「自分たちで衛星を運用しているからこそ、肌身で太陽フレアの怖さを感じました。一方で宇宙の神秘性、自然科学の合理性を経験しているとも言えます。人工衛星を運用することも約11年周期である太陽フレアもとても貴重な経験ができています」と話す。BOTANの寿命は短くなってしまったが、その経験をも糧にして研究者達は逞しく育っていた。
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