一方、小学館の炎上は一般的な不祥事とは少し違う点もある長沼氏。今回の話題が広がるきっかけは地裁の判決。それがSNSでの告発により広がった形で、オールドメディア含め報道機関が事実関係を暴いたものではなかった。
一般的にメディアは自分たちが暴いたものは報道意欲が高まりやすいが、そうではないと“二番煎じ”になるため、炎上の度合いが変わると長沼氏。そのため、不信感を与えないためには、本来はメディアや外部に先んじての情報公開がベターだったと話す。
一方で小学館は2日、漫画「アクタージュ act-age」の原作者で、2020年8月に強制わいせつ容疑で逮捕・起訴され有罪判決を受けたマツキタツヤ氏を、別名義で起用していたことも発表した。起用していた作品の連載開始は25年8月で、強制わいせつの執行猶予は満了していたが、山本氏の一件も踏まえ、SNSではさらなる物議を醸すことにつながった。
マツキ氏に関する発表については、週刊誌が報道をにおわせており、その影響を受けた可能性もあると長沼氏。つまりは報道に先んじた動きだったかもしれないわけだが「こういった形で出てくるということは、(組織の)体質的な問題であることが明らかになりつつあるということ」と指摘する。そのため今後は類似の案件がないか徹底的に調査したり、既知の案件はいち早く公開したりするなど、メディアやSNSに先んじた対応が求められると話す。
長沼氏はクライシスコミュニケーションだけでなく、それ以前のリスクマネジメントにも問題があった可能性を指摘する。「本来、漫画家と出版社の間には冷静な関係があるはずで、犯罪行為が分かったら即座に契約解消するべきだが、出版社がかばうような構図になった。担当者に『これくらいは大丈夫だろう』という正常化バイアスが働き過ぎていたのでは」
一連の状況から、小学館は危機管理広報の視点からも早急な謝罪会見を実施するのが望ましいという。小学館は第三者委員会の設置を発表しており、続報が待たれる状態だが「もしかしたら幹部の辞任が必要かもしれない。事態が深刻なところに来ていると踏まえたうえで、なぜこうなったのか、どういった再発防止策が必要なのかを示し、信頼回復を行うことが必要なフェーズなのでは」
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