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ニコンのカメラ、月の裏側へ 「アルテミスII」のオリオン宇宙船を支える2台の「D5」と「Z 9」

» 2026年04月08日 12時34分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 連日、注目を集めているNASA(米航空宇宙局)の「アルテミスII」プロジェクト。それを支援している企業の一つが日本の光学機器メーカーであるニコンだ。有人宇宙船「オリオン」による月周回ミッションでは、ニコンの「D5」2台と「Z 9」が使われている。

月の縁に沈む三日月のような地球。オリオン宇宙船が月の裏側を通過する直前の4月6日(米国時間)にニコン「D5」で撮影された(出典:NASA)

 ニコンとNASAの関係は長い。50年以上前のアポロ15号のミッション以来、ニコンのカメラとレンズは、スペースシャトルの運行を含むNASAのさまざまなミッションに使用されてきた。

 2016年発売の「D5」は、常用感度ISO 102400を実現した当時としては画期的なデジタル一眼レフカメラ。ニコンによると、翌17年にNASAから53台の大型注文があって以降、国際宇宙ステーション(ISS)などでメインの撮影機材として活動を支えているという。直近では3月18日の船外活動“Space Walk”でもD5が使用された。

 一方のZ 9は、21年発売のフルサイズミラーレスカメラ。発表時にはフラグシップ機からメカシャッターがなくなったことで注目を集めた。NASAには24年1月に納入され、すでにISSで運用されている他、23年にはアルテミス計画向けのHULC(手持ち型ユニバーサル月面カメラ)のベースとして採用されている。HULCが活躍するのは、アルテミス計画の第3段階となる有人月面着陸ミッション「アルテミスIII」の予定だ。

2016年発売のニコン「D5」(出典:ニコン、以下同)
2025年1月のCESでニコンが出展したブース。アルテミス計画をサポートする機材を展示した

当初は「D5」2台だけの予定だった

 NASAの特別通信補佐を務めるジョン・クラウス氏(@johnkrausphotos)は、今回の月周回ミッションでは、もともと2台のD5のみを持っていく予定だったが、Z 9が後で追加されたとXに投稿している。また米国の独立系メディア「PetaPixel」によると、Z 9の追加はオリオン宇宙船のクルーの要望で、宇宙環境でのテストのためだという。

 信頼性が高く、多くの実績もあるD5とはいえ、設計は10年以上前のもの。クルーも新しいカメラを試したかったのかもしれない。なお、ニコンはHULCについて「今もNASAと密接に連携しながら開発を継続中」としており、オリオン宇宙船で使用されているZ 9がそれなのかは分からなかった。

 NASAのギャラリーには、連日のようにD5やZ 9で撮影された月や地球の写真が追加され、世界中の天文ファンやカメラファンを魅了し続けている。これらの写真は、NASA公式サイトの他、NASAの「イメージ&ビデオライブラリー」、写真共有サイト「flickr」の「NASA Johnson」ページなどで見ることができる。

25年のCESでは2台の「Z 9」を並べた。右はNASAのサーマルブランケットとカスタムグリップを取り付けるためにカスタマイズしたもの
後ろから見たところ。操作ボタンの場所に印が付いている
ブランケットを外すとカスタムグリップを取り付けたZ 9が現れる
後ろから
NASA「イメージ&ビデオライブラリー」では、左下のボタンをクリックしてEXIFデータが参照できる(出典:NASAのイメージ&ビデオライブラリー
EXIFデータで「D5」で撮影したことが分かる

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