現地では搭乗の体験もできた。ビークルモード時のコックピットに乗り込んでみると、足を入れるのに苦労する。車体は大きいが、内部にロボットのパーツが詰め込まれているため、座席周りは窮屈だ。後部座席はなく、定員は2人。ロボットの頭部はボンネット部分に、脚部は後部座席のスペースに、バッテリーは車体最後尾に格納される。両腕はドア内部に折りたたまれており、ドアの厚みもそのぶん増している。内張りには直角のエッジが多く、乗降時に体をぶつけないよう注意を要した。
ハンドルはゲーム用コントローラーから流用したような作りだ。ダッシュボードのディスプレイにはWindowsの待機画面が表示されていた。操縦は運転席からの操作のほか、外部からの無線操縦にも対応する。座席の左右と中央の計3カ所には赤い非常停止ボタンが並び、搭乗者と外部スタッフのいずれもが緊急時に動作を止められる構造だ。
ビークルモードからロボットモードへ変形する際は、キャビンがそのままロボットの胸部としてリフトアップされる構造になっており、本来は乗員が乗ったまま変形を体験できる。ただし会場では安全のため、乗車体験と変形デモをそれぞれ別に実施。乗車体験はビークルモードのまま行い、変形デモは無人で披露した。
技術的な要は2.3tの自重を制御する点にある。ロボットの全身には約50個の関節モーターを搭載。前半部を持ち上げる動作は1点を支点にした片持ち構造で、強いトルクを必要とするため、補助バネを組み込んでモーターを小型化したという。膝の関節モーターも片側で2t近い重量を支える。ロボットの動作制御には、アスラテックのロボット制御システム「V-Sido」(ブシドー)を採用した。
バッテリーは車体後部に搭載。負荷を避けるため、約300kgある電池パックは変形時、地面に接地させる構造になっている。
開発の出発点は約10年前にさかのぼる。他社が手掛ける小型の変形ロボットを、人が搭乗できるサイズに発展させる構想から始まった。試作機の完成は2018年で、現在のSR-01は試作機を含めて2代目にあたる。試作機に比べてコックピットの天井を高くして搭乗時の姿勢を改善し、変形速度や安定性、操作性も改良したという。
現在はエンターテインメント領域の新規事業として開発に取り組んでおり、菊山氏は「面白いものを作ろう、というところから始まった」と経緯を語る。ただし、SR-01自体を遊園地などに常設する計画はない。「現場では操作要員と安全確保要員が3人ほど常駐する運用を前提にしており、運営側に委ねるのは現状では難しい」(菊山氏)
一般来場者向けには、4本足型の姉妹機「SR-02」を並行して開発している。最大4人の搭乗を想定した設計で、2025年9月の大阪・関西万博でも展示した。スタッフによる実演を前提とするSR-01と異なり、SR-02は将来的な観客の搭乗体験を見据えた設計だが、万博では立ち上がりやロボットアームの動作を見せるにとどまり、人を乗せたデモは実施しなかった。
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