ワコムは5月20日、英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(以下、AVI)から提出された株主提案に対し、反対声明の内容を一部変更した。同社の井出信孝社長が代表理事を務める一般社団法人「コネクテッド・インク・ビレッジ」(CIV)との関係を抜本的に見直すと発表した。
AVIはワコムの筆頭株主(持株比率13.8%)で、井出信孝社長と中嶋崇史COOの解任を求める株主提案を提出していた。その根拠の一つがCIVとの関係だ。AVIは、ワコムが西新宿の東京支社オフィス(住友不動産新宿グランドタワー31階)の一角を同法人に貸し出したり、井出社長の娘が、CIVが主催するイベントにダンサーとして繰り返し出演していたりしたことを「公私混同」と批判していた。
またAVIは、CIVに対してワコムから関連当事者間取引として総額2億8000万円に及ぶ寄付金の拠出があったことも問題視していた。なお、ワコムは13日に公表した株主提案への最初の文書で、同寄付金はいずれも井出社長を除いた取締役による取締役会で決議されたと、手続きの正当性を説明している。
13日の時点では、同社はオフィススペースの貸し出しについて「正式な契約に基づき適正な対価を受けている」と明かしたほか、「家族の出演はボランティアで問題ない」として株主提案への反対を表明していた。しかし18日、CIVとの関係について別途リリースを公表。「外部から見た分かりやすさ、透明性という観点では、より丁寧な説明と、より厳格な運営体制が必要であった」と認め、CIVとの新規活動を停止した上で関係性を精査すると表明した。
今回の追記ではさらに踏み込んだ対応を明示。CIVへの寄付は2026年3月期から行っておらず、今後も実施しないとした。加えて、同社が主催・共催・スポンサー・施設提供・運営協力するCIV関連イベントへの役員の親族の出演を今後一切禁止すると明かした。
なお、取締役会は社長・COOの解任には引き続き反対の立場で、「両氏は持続的な企業価値向上に不可欠な人材であり、解任は妥当性を欠く」との見解を維持している。株主提案の賛否は、6月25日開催予定の第43回定時株主総会で株主の投票によって決まる。
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