「FILCO」のダイヤテックは「忸怩たる破産」だった TSR「背景に為替デリバティブの失敗と需要減」
メカニカルキーボード「FILCO」ブランドで知られるダイヤテックの破産について、東京商工リサーチ(TSR)が6月3日、独自に入手したという破産申立書の内容をもとに詳報した(TSRの記事:キーボード「FILCO」のダイヤテック、忸怩たる破産 ~ 為替デリバティブと需要減、綱渡りの資金繰り ~)。
経営陣は、従業員や商取引債権者への被害を最小限に抑えようと奔走しており、TSRはその責任感を評価している。
同社は1982年設立。当初は半導体販売商社だったが、PC周辺機器の開発・輸入・販売に転じ、自社ブランドFILCOを展開。国内外に固定ファンを獲得した。96年9月期には売上高約20億円に達し、その後も年商10億円台を維持していたという。
転機は06~07年。複数の金融機関から「必ず円安になる」と為替デリバティブ取引を勧誘され、1ドル110円程度での為替予約を5年にわたり結んだ。だが08年のリーマン・ショックで1ドル70円台に急落。5億円超の負債を抱えた。
本業の利益や債務免除で負債の圧縮を進めたものの、コロナ特需の反動やタブレットの普及、安価なキーボードの流入、円安による仕入れコスト高騰が重なり、24年9月期の売上高は4億7141万円まで落ち込んだ。26年に入ると毎月700万円の赤字が発生。26年3月20日に従業員を整理解雇した。
社長は、デリバティブ取引について、「銀行の勧誘に乗った私の責任」と陳述。経理部長は過去3年間の未払い給与約885万円と退職金の請求権を放棄した。
破産申請時の現金はわずか118万円。商取引債権者は、確認できる限り10人に満たなかったという。「綱渡りの状況ながら、大きな混乱もなく、破産開始決定を受けたのは、経営陣の責任感が大きい」とTSRは評価している。
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