KADOKAWA取締役でドワンゴ創業者の川上量生(かわんご)氏は6月9日、KADOKAWAの筆頭株主である香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントによる夏野剛CEOの解任提案に対して、Xで自身の見解を表明した。業績悪化を理由とする解任論に「現時点で経営責任を問うのは不合理」と反論した。
川上氏は「取締役としての個人の見解」と前置きしたうえで、業績低迷の出版・アニメ事業は「夏野が最もコントロールしていなかった事業領域」だと指摘。今回の業績悪化でようやく本格的な構造改革に着手できる体制になったと主張した。
同氏は、KADOKAWAは多岐にわたる複雑な事業を抱えており、全体を統括できる経営者を外部から見つけるのは難しいと説明。夏野氏とともに立ち上げた教育事業や、ニコニコを中心としたWebサービス事業で利益を維持している点を挙げ、夏野氏の経営手腕は評価を受けるべきだとした。
一方で、業績不振については「取締役の一人として株主に申し訳ない」と謝罪している。オアシスが指摘する通り、KADOKAWAの潜在価値は高いとする一方、「もし、夏野がKADOKAWAの経営陣を去るようなことがあればKADOKAWAは大混乱に陥ることは必須」として、「早まった結論がかえって重大な価値毀損(きそん)を招かないよう願う」としている。
オアシスは2020年からKADOKAWAに対し書簡の送付やIR面談を通じて経営改善を求めており、並行して株式の取得を進めていた。26年3月には当時筆頭株主だったソニーを上回る水準まで保有比率を引き上げ、3月18日付で筆頭株主に浮上。さらに買い増し、3月下旬には保有比率を約13.76%まで引き上げた。
その後4月には夏野氏の解任を求める株主提案を提出。同氏がCEOに就任した21年からの5年間で、営業利益が136億円から81億円に、1株当たり純利益(EPS)が89%減少、自己資本利益率(ROE)が8.2%から0.5%に低下したと指摘し、「質より量」を重視した出版・IP創出戦略が収益力を弱めたと批判している。ガバナンス面では、24年のサイバー攻撃で25万4241件の個人データが流出したことなども問題視している。
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