06年発売の「PlayStation 3」では、当時の“次世代DVD”の座を巡り、東芝などのHD DVDとフォーマット競争を繰り広げていたBlu-ray Discを採用した。HD DVDは、DVDフォーラムが策定したDVDの後継規格だったが、デファクトスタンダードとなったBlu-ray Discが追い落とした形だ。
発売の2年前、当時まだ“次世代ゲーム機”だったPlayStation 3に、Blu-ray Discを採用すると発表したソニー・コンピュータエンタテインメント(現在のSIE)の久夛良木健社長兼CEOは「メディアがCDの10倍の容量になったDVDをPS2が採用したことで素晴らしいゲームが登場し、映画のDVD化との相乗効果も大きかった。メディア戦略とプラットフォーム戦略はきっても切れない関係」と話した。
このように、ソニーにとってゲーム機のドライブは、オーディオビジュアル事業の新たなメディア戦略を加速させたり、業界標準を作るための武器でもあった。
現行の「PlayStation 5」(20年発売)では、4K解像度のUHD-BD(4K Ultra HD Blu-ray Disc)のドライブを搭載している。ただし、発売する頃にはすでに映像コンテンツはストリーミングで視聴するのが主流になり、UHD-BDも「最後の光学メディア」などと揶揄(やゆ)されていた状況。PS5に当初から光学ドライブのない「デジタルエディション」がラインアップにあったことからみても、ソニーは世間と同様、UHD-BDの普及は限定的とみていたのだろう。そんなPS5発売前夜の微妙な空気感は、当時のコラム記事からも読み取れる。
近年は世界的なインフレと円安で、ソニーはPS5の値上げを余儀なくされ、現在もっとも購入しやすい「デジタルエディション(日本語専用モデル)」でも5万5000円だ。しかし、DRAMやSSDの高騰が続く現在は、ゲーミングPCと渡り合えるグラフィック性能を持つ高コスパのゲームコンソールとして再評価されている。
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