最高裁の中絶の権利を認めない判断を受け、多数の米IT企業が従業員保護を表明
米連邦最高裁は、妊娠中絶は女性の権利だとした判決を覆す判断を示した。これを受け、GoogleやAppleなど、多数の企業が従業員の中絶のための医療を支援すると表明した。
米連邦最高裁判所は6月24日(現地時間)、妊娠中絶は女性の権利だとした1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆す判断を示した。これを受け、米国では20以上の州の法律で女性の中絶権が非合法になる見込みだ。
最高裁の9人の判事は現在、保守派が優勢(6対3)だ。前ドナルド・トランプ政権中に、トランプ大統領が3人の保守派判事(ニール・ゴーサッチ氏、ブレット・カバノー氏、エイミー・コニー・バレット氏)を任命したためだ。
最高裁の今回の判断は、ミシシッピー州の妊娠15週以降の中絶を禁ずる新法は違憲だとする訴えについてのもの。6対3で違憲ではないという判断になった。
これを受け、多数の米企業が従業員保護を表明している。中絶を違憲とする州からの移転や中絶のための一時的な移動をサポートするという内容が多い。
なお、UberとLyft、Salesforce.comは昨年、テキサス州が人工妊娠中絶を禁止する州法を施行した際、従業員保護を表明した。Airbnbは従業員保護だけでなく、州法改定で法的措置が必要になったホストも財政的に支援した。
Googleのフィオナ・チッコーニCPO(最高人事責任者)は全社宛メールで「この判決が人々の健康、生活、キャリアに与える影響について懸念を共有している」とし、「Googlerは正当な理由を明記せずに移転を申請できる」と語った(The Vergeより)。
MetaはFast Companyに対し「居住州外での医療サービスを利用する必要がある従業員に対し、合法な範囲で旅費の払い戻しを提供する予定だ」という声明文を送った。シェリル・サンドバーグCOOも自身のFacebook投稿でこの判決への反対を表明した。
Microsoftは判決が出る以前、判決のドラフトがリークされた時点でBloombergに対し、従業員が中絶合憲州で利用サービスを受ける際の旅費を援助すると語った。
AmazonはReutersに対し、中絶のために他州に移動する従業員に4000ドル(約54万円)までの旅費を援助すると語った。
AppleはCNBCに対し、「前にも言ったように、われわれは従業員がリプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康とその権利)に関して自身で決定する権利を支持している。10年以上前から、Appleは従業員が自宅のある州以外の州で医療を受けられている」と語った。前にも言った、というのは、テキサス州の州法改定の際のことを指す。
トランプ前大統領は自身で立ち上げたSNS「Truth Social」への投稿で、「生命の最大の勝利である今日の判決は、私が3人の非常に尊敬される立憲主義者を指名したことを含む、公約通りの決定をしたことで可能になった」と語った。
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