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「VAIO W」をSSDで爆速にしてみた発熱と騒音もチェック(3/3 ページ)

いよいよ発売が明日に迫った「VAIO W」。デザインとWXGA液晶ディスプレイが魅力的なソニー初のNetbookを一足先にSSD化し、各種ベンチマークテストを実施した。

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SSDとHDDでボディの発熱をチェック

 前回PC USERでVAIO Wの検証を行った際は、冷却ファンの仕様が最終ではない試作機だったため、発熱や動作音のテストは実施できなかった。そこで、今回はこれらのテストも行った。

 まずはボディの発熱テストだ。本体を樹脂製のデスクに置き、ユーザーが利用時に触れるボディ各部の表面温度を放射温度計で計測した。計測したのは、Windows XPの起動から30分間アイドル状態で放置した場合と、そこからシステムに高い負荷がかかる3DMark05のデモを30分間実行し続けた場合の2パターンだ。スクリーンセーバーはオフに設定し、アイドル状態から一定時間が経過してもディスプレイの表示やストレージの電源がオフにならないようにした。

 ボディの温度は、キーボードの左半分/右半分、パームレストの左右、タッチパッド、タッチパッドの左右クリックボタン、ボディ底面の左半分/右半分を計測した。各部で最も高温になる部分を探して、温度を計っている。テスト時の室温は約24度だ。

動作時の発熱。左が起動後30分間アイドル状態にした場合、右がシステムに30分間高い負荷をかけ続けた場合の温度だ

 計測結果を見ると、標準構成、メモリ2Gバイト増設の構成、メモリ2GバイトとSSDの構成で目立った差はない。いずれもユーザーが操作時に触れるパームレストとキーボードは低温に保たれており、システムに高い負荷をかけ続けてもその傾向は変わらかった。VAIO Wはボディの冷却に配慮してファンを内蔵しており、ボディの薄型化をそれほど重視していないこともあって、放熱設計には余裕があるようだ。操作時に不快な熱を感じずに済むのはありがたい。

 もっとも、細かな部分では差が見られる。グラフの値は各部の最高温度を採用したため、低温部の結果は反映されていないが、高負荷時における底面のデータストレージ内蔵部は、HDDの場合で32〜33度、SSDの場合で29〜30度だった。SSDの構成では、底面カバーの上からSSD搭載部分に触れても、ほとんど熱くなっていなかった。

 ただし、高負荷時では内蔵するデータストレージの種類に関係なく、底面のCPUやチップセットの裏側辺りが発熱しやすいので、ヒザの上に本体を載せて使用する場合などでは注意すべきだろう。

冷却ファン搭載だが、動作音は大きい?

 動作音のテストについては、VAIO Wをデスクに置き、一定の距離から騒音レベルを計測した。騒音計のマイクは、使用時におけるユーザーの耳の位置を想定し、ノートPCのボディ中央から約30センチ離し、設置面から約50センチの高さに固定している。室温は約24度、環境騒音は約28デシベル(A)となっており、周囲の雑音がほとんど気にならない静かな部屋でテストした。

 騒音レベルの計測条件は発熱のテスト時と変わらない。Windows XPの起動から30分間アイドル状態で放置した場合と、システムに高い負荷がかかる3DMark05のデモを30分間実施続けた状態の2パターンで計測している。

動作時の騒音レベル

 結果は、SSD搭載の構成がアイドル時で28.8デシベル、高負荷時でも37.3デシベルと静かだった。HDDが搭載するスピンドルやヘッドのような可動部がないSSDでは、動作音が減るわけだが、昨今の2.5インチHDDはかなり静かに動作するため、騒音計が拾うノイズはほとんどが冷却ファンによるものだ。

 HDD搭載の構成はアイドル時でも32〜33デシベルとやや大きめだが、これらはファンの回転音自体がSSDに換装した評価機より少し大きく、試作機の個体差という可能性もある。いずれにしても、夏場でエアコンが効いた部屋ならば、通常の操作でファンノイズが気になることはあまりないが、静かな環境や高負荷時ではファンの回転が確かに感じられる。ファン搭載のNetbookとしては、まずまずの静音性といったところだ。

総合的なバランスのよさを再確認

 以上、VAIO Wのメインメモリとデータストレージを強化し、改めて各種テストを行ってみた。VAIO WのHDDをSSDに換装する場合、チップセット側のボトルネックなどがあるため、今回搭載した34ナノ版X25-Mのような高速なSSDではパフォーマンスが十分に発揮できない可能性が高い点は覚えておきたい。

 Netbookのために、あえて高額な高速SSDを買い足して換装するユーザーは少ないだろうが、堅牢性向上や高速化のためにSSDの導入を検討する際は、X25-Mよりも低価格帯のSSDを選んだほうがパフォーマンスの低下が少なくて済みそうだ。

 今回は、以前のレビューで検証できなかった発熱や騒音についてもテストしたが、パームレストやキーボードはクールで、騒音レベルも納得できるレベルだった。Atom搭載Netbookの誕生から1年以上を経て投入するソニー初のNetbookだけあって、VAIO Wはさすがに総合的なバランスがよい。明日から店頭販売が開始されるが、激戦区のNetbook市場においても確かな地位を築いていくだろう。

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