自動車メーカー大手のホンダが、先進的なスマートホームの開発に取り組んでいる。HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)を中核に、太陽電池、蓄電池、ガスコージェネなど、すべて独自開発の製品で構成できる段階まで進んでいる。
自動車のほかにロボットの開発でも有名なホンダ(本田技研工業)がスマートホームにも力を入れている。独自に開発した「Hondaスマートホームシステム」(HSHS)を導入した実証実験ハウスを、このほど埼玉県さいたま市に完成させた。機能面だけではなくデザインや操作性を重視した製品で構成されているのが特徴で、ホンダらしさが随所に表れていると言える。
ホンダのスマートホームの骨格となるHSHSは、太陽電池、蓄電池、ガスエンジンコージェネレーションと給湯ユニットで構成する。これらのエネルギー機器を「Smart e Mix Manager」と呼ぶコントロールユニットで管理・制御する仕組みだ(図1)。
このSmart e Mix Managerは同時に家庭内のエネルギー使用状況を把握して、家庭内にあるタブレット端末に表示する。いわゆるHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)の役割を果たす。最新の電気料金やガス料金をもとに光熱費が最も安くなるモードを設定したり、CO2排出量が最も少なくするモードで制御したりすることが可能になっている。
家庭内の家電は「スマートプラグ」(図2)に接続することで、電力使用量をリアルタイムに測定する。さらに「i リモコン」(図3)と呼ぶユニークな形の装置があり、無線で家電を制御することができる。家庭内にあるタブレット端末のほか、屋外からでもスマートフォンやカーナビゲーションシステムを使って遠隔操作が可能だ。住宅メーカー各社が販売中のスマートハウスよりも一歩先を行く機能を実現している。
さらに自動車メーカーならではの機能として、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車に電力を供給する装置も自社で開発して、さいたま市のスマートホームに備え付けた。ガソリンスタンドのように天井からアームが伸びて電力を供給するユニークな方法をとる(図4)。
この電力もSmart e Mix Managerを通じて供給する。今後は電気自動車に蓄えられた電力を家庭内に取り込むための「ビークル・トゥ・ホーム」の実証実験にも取り組む予定である。
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