スマートハウスの発売が相次ぐ、節電・蓄電・発電の機能を標準装備スマートホーム

4月に入って住宅メーカー各社が一斉に新しいスマートハウスを発売した。電力不足が懸念されるなか、蓄電・発電機器とHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)を備えた新築住宅のニーズが高まってきたようだ。

» 2012年04月23日 10時50分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 このところテレビのCMでも「スマートな家」が盛んに宣伝されている。特に関東では昨年夏に計画停電を経験したこともあって、電力を自給自足できる住宅の関心度は高い。4月からHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)の補助金制度が始まったのを機に、蓄電・発電機器とHEMSを装備したスマートハウスが住宅メーカー各社から相次いで発売されている。

 4月11日から19日までの9日間で、ミサワホーム、トヨタホーム、エス・バイ・エル、パナホーム、三菱地所ホーム、積水化学工業(セキスイハイム)の6社が新商品を発表した(図1)。蓄電・発電機器とHEMSを組み合わせることで、夜間の安い電力を活用できるようになり、「通常の住宅と比べて年間で32万4000円の光熱費を削減できる」(積水化学工業)と節電効果を強調する。

ALT 図1 4月中旬に発表された住宅メーカー6社のスマートハウス

余った電力は売ることもできる

 新築の住宅であれば、機器の設置や配線を建設中に済ませることができる利点もある。最新のスマートハウスでは、屋根に太陽電池モジュールを搭載して、屋内に設置したリチウムイオン蓄電池との間で電力をやりとりする方式が多い(図2)。

ALT 図2 パナホームが提案するエネルギー自給自足の仕組み。出典:パナホーム

 パナホームが発売したスマートハウスには、照明機器や家電製品に電力を配分する分電盤にバックアップ用も備える。停電の時でもバックアップ用の分電盤が蓄電池や太陽電池から電力の供給を受けて、照明機器や冷蔵庫など日常生活で最も重要な電気製品にだけ電力を送ることができる。

ALT 図3 三菱地所ホームがHEMS用に提供するタブレット端末の画面

 家全体のエネルギーの使用状況をHEMSで把握して、余った電力を売ることも可能になる。三菱地所ホームのHEMSはタブレット端末を使って、発電や売電の状況、電気代の推移などを表示する(図3)。タッチパネルの操作で各部屋の温度をコントロールすることができるため、電力の使用状況と実際の体感をもとに、こまめな節電が可能だ。

 各メーカーが提供するHEMSはタブレット端末を使う場合もあれば、専用装置にディスプレイを搭載したものもあり、形態はさまざまである。ただしエネルギーの使用状況を“見える化”する機能など、基本的な部分に大きな差はなさそうだ。

電気自動車との連携も有効な節電手段に

 家庭の電力ネットワークにおいては今後、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド電気自動車(PHV)を蓄電池として利用するケースも増えてくるだろう。EVやPHVに搭載されているリチウムイオン蓄電池は、一般の家庭で必要とする電力を供給するのに十分な容量があるからだ。

 すでにEVを蓄電池として使うための装置が自動車メーカーから発売され始めている。HEMSを使ってEVの充電状況を見ることもできる。スマートハウスとEVの組み合わせが家庭の節電において有効な手段になる日は近い。

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