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» 2012年06月15日 05時00分 公開

自社サーバを環境性能の高いデータセンターに移設しよう連載/データセンターの電力効率、コスト効率を上げるには(1)(2/2 ページ)

[中村彰二朗/アクセンチュア,スマートジャパン]
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データセンターは日本各地に分散配置

 アクセンチュアでは「データセンター分散促進」を提唱している。日本に拠点を置く各企業が、自社で保有するサーバを専門事業者が運営するデータセンターに移設することを促進させる取り組みだ。企業のサーバをデータセンターに収容しながら、仮想化技術を活用してサーバの稼働台数を減少させる。さらに、データセンターの電力利用効率を高める。加えて、データセンターを日本各地に分散配置して障害時のリスクを低減させるというものだ。

 この取り組みを実現させるには、以下の4つのステップを踏む必要がある。

 1つ目は「ITは所有から利用へ」。ユーザーの考え方の転換を促すのだ。データセンター利用率を上げていくために、正しい情報を発信していくことや、データセンターを利用しようとする人が不安に感じることが多いセキュリティ対策を徹底することが大切だ。

 2つ目はサーバの台数(消費電力量)を大幅に削減させるために、仮想化技術を利用して複数のサーバを統合すること。

 3つ目は、世界トップレベルの電力利用効率(PUE値が1.2程度)を実現するデータセンターを日本各地に再配置すること。現在、日本のデータセンターは地価が高い首都圏に集中している。地価の高さ、ビルの賃料の高さがデータセンター利用料を押し上げる要因になっている。利用コストを少しでも低減させるには、首都圏に存在するデータセンターの多くを日本各地に再配置させ、空いたスペースを一般オフィスに転用するなどの施策も欠かせない。

 4つ目は、日本全国に再配置した、電力利用効率が高いデータセンターを日本中の各企業が利用することの促進だ。

日本全国という規模で考えれば、大幅に電力消費量を削減できる

 データセンター分散促進の取り組みを実現するために、以上で紹介した4つのステップを踏んでいけば、日本中で稼働しているサーバと、その付帯設備全体の消費電力量を大幅に下げられる。

 図2は、データセンター分散促進によって期待できる消費電力節減効果の試算結果をまとめたものだ。先に紹介したように、2011年2月にIDC Japanが発表した調査結果によると、日本で動作しているサーバの総数はおよそ276万台。アクセンチュアは、すべてのサーバの合計消費電力は年間で276.4億kWhと試算している。

Integration 図2 日本中のサーバをデータセンターに集約することで期待できる消費電力節減効果(出典:アクセンチュア)

 このうち、企業が抱えているサーバは182万台。一方、データセンターで稼働しているサーバは約94.6万台に過ぎない。ミック経済研究所の「データセンターの消費電力とグリーンIT化の実態調査 2011年度版」によると、データセンターで稼働しているサーバの年間消費電力量は、94.5億kWhと少なめだ。日本中のサーバの年間合計消費電力量を先に示した通り276.4億kWhとすると、企業が抱えているサーバは年間に合計で181.5億kWhを消費していることになる。

 まず、企業が保有するサーバを仮想化技術で統合していくことで稼働台数を75万台に減らせると見ている。これは、IDC Japanが2012年5月に発表した「国内仮想化サーバー市場予測」にある、2011年のサーバ出荷台数のうち、仮想化環境を構築するためにユーザーが購入したサーバの割合が16%というデータから推計した。仮想化技術による統合の結果、年間の消費電力量は74.9億kWhまで下げられる。

 さらに、統合したサーバをデータセンターに移設する。仮想化後の企業内サーバ台数と、事業者内データセンター内のサーバ台数の合計はおよそ169万台になり、年間消費電力量は169億kWhとなる。前述の、国内におけるサーバの年間消費電力量は276.4億kWh。集中、統合によって100億kWh以上の電力を節約できる計算になる。ちなみに100億kWhは、一般家庭約280万世帯の年間電力消費量に相当する数値だ。

税制優遇や助成も考える必要あり

 このように、日本全国で稼働しているサーバをデータセンターに移設することで莫大な量の電力を節約できる。しかし、仮想化という比較的新しい技術を導入することを嫌がる企業もある。動いているシステムに手を入れて、障害が発生することを恐れる企業も少なくない。

 さらに、抱えているサーバをデータセンターに移行させることに抵抗を感じる企業も多い。大切なデータだからこそ、自分たちの手元においておきたいと考えるのだろう。

 そこで、サーバ統合やデータセンターに取り組む企業に対して、税制上の優遇策や、助成金を用意することも考える必要もあるかもしれない。

 第2回は、日本のデータセンターの利用コストが、実は世界各国と比べると決して安いとは言えないという問題を指摘し、日本のデータセンター事業者のコスト構造と、抱えている問題について解説する。

連載第2回:新しいかたちのデータセンターを日本中に分散配置しように続く

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著者プロフィール

中村 彰二朗(なかむら しょうじろう)

アクセンチュア 経営コンサルティング本部 シニア・プリンシパル。アプリケーションパッケージ開発・製品化を経験し、その後、政府自治体システムのオープン化とそれに伴う地方ITベンダーの高度人材育成や地方自治体アプリケーションシェアモデルの確立に尽力。現在は、東日本大震災後にアクセンチュアが会津若松市に設置した「福島イノベーションセンター」センター長として現地に赴任し、地域復興施策実現に向けた活動に取り組んでいる。


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