電力の見える化を家庭で、HEMSの補助金が38製品に拡大エネルギー管理

政府が4月から運営しているHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)の補助金制度で対象製品が急速に増えている。家電や住宅メーカーに加えて、自動車メーカーや電話会社も加わり、16社の38製品がそろった。補助金よりも安い価格の製品が多く、夏本番に向けて普及に弾みがつきそうだ。

» 2012年06月28日 10時21分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 太陽光発電が家庭に普及し始めたことにより、毎日の発電量と使用量を見える化するHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)の導入ニーズが高まってきた。それに合わせて政府が運営するHEMSの補助金を適用できる製品が急増している。5月末時点では20製品が登録されていたが、6月に入ってから約2倍に増えて合計で38製品が対象に入った(図1)。

ALT 図1 HEMS導入事業の補助金対象製品。2012年6月25日現在

 新たに対象に加わった製品の中で目を引くのは、トヨタメディアサービスの「H2V Manager」とNTT東日本の「フレッツ・エルミネ」である。いずれも2012年に入ってから発売された新製品である。

ALT 図2 6月25日に補助金の対象に加わったトヨタメディアサービスの「H2V Manager」

 トヨタのH2V Managerは電気自動車の充電状況を含めて家庭内の電力使用量を見える化できる点が特徴だ。電力のピークカット機能が付いた「Contoroller」と通信用の「Gateway」を使って、家庭内の電力を制御しながら使用量の情報を収集する仕組みである(図2、図3)。

 電力使用量の確認や充電時間の設定などは、パソコンのほかにスマートフォンやインターネット対応のテレビからでも可能になる。価格は5万2290円(工事費は別)で、補助金の上限である10万円よりも安く設定されている。

ALT 図3 「H2V Manager」のシステム構成。出典:トヨタメディアサービス

 一方NTT東日本のHEMSはインターネット接続サービスの「フレッツ光」を利用する家庭に限定した製品だが、やはり10万円以下で導入できる。家庭内の分電盤に計測器を取り付ける方式で、利用者自身で設置することが可能だ。毎日の電力使用量を時間帯別にグラフで表示して、電気料金を計算する機能もある(図4)。

ALT 図4 6月13日に補助金の対象製品に加わったNTT東日本の「フレッツ・ミルエネ」の画面。
ALT 図5 「フレッツ・ミルエネ」の電源タップ

 さらに機器ごとに専用の電源タップ(図5)を装着すれば、機器単位の電力使用量も見える化することができる。タブレット型の専用端末と電源タップが1台ずつの「スタンダードパック60A(S)」で価格は4万2000円。追加の電源タップは1台あたり4200円。電源タップは1世帯で9個まで使用可能。追加電源タップの購入費用は補助金の対象外となる。

 HEMSの補助金は工事費を含めて10万円まで支給される。価格が10万円以下で、工事が簡単に済む場合には、全額を補助金でカバーできる可能性がある。これまでHEMSは家庭の電気料金を削減できる効果に比べて、導入費用の高さが障壁になっていた。価格の低下と補助金対象製品の拡大で導入のハードルは大幅に低くなったと言える。

 ただし補助金の申請には多数の書類が必要になるほか、導入から1年間の電力使用量の実績を報告する義務があるので、その手間を念頭に置いておかなくてはならない。申請は2014年1月31日まで受け付ける。

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