エコカーよりも有利な電気自動車の補助金補助金

2013年2月まで続く予定の「エコカー補助金」だが、すでに申請額が予算に近づき、期限前に終了する見通しだ。しかし金額の大きい別の制度がある。「クリーンエネルギー自動車」に対する補助金で、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車が対象になる。

» 2012年08月22日 08時20分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 話題の「エコカー補助金」は電気自動車やハイブリッド自動車以外でも、燃費が一定の条件を満たせば対象になる。このため申請件数が多く、すでに事業用の自動車に対するエコカー補助金は7月5日に終了した。

 現在でも自家用を対象にしたエコカー補助金は続いているが、2012年度の予算2747億円のうち7月4日の時点で約7割に相当する補助金が申請されており、申請期限の2013年2月末よりも前に終了する可能性が大きくなってきた。

 しかし意外に知られていない有利な補助金が別にある。経済産業省が2012年度に292億円の予算で実施する「クリーンエネルギー自動車」の補助金制度だ。運営もエコカー補助金と同じ「一般社団法人 次世代自動車振興センター」が担当している。この補助金は電気自動車用の充電設備にも適用できる。

リーフは78万円、プリウスPHVは45万円が上限

 クリーンエネルギー自動車の補助金はエコカーの補助金と比べると対象車種が限定される代わりに、1台あたりの補助金は高い。自家用の場合だとエコカー補助金が一律10万円だったのに対して、クリーンエネルギー自動車では最高100万円まで補助金が交付される(図1)。

図1 クリーンエネルギー自動車とエコカーに対する補助金の概要

 補助金の算出方法は少し複雑である。対象の車種ごとに「補助金交付上限額」と「基礎額」が決められていて、以下の式で計算する金額か補助金交付上限額のどちらか低い方になる。

 (実売価格−基礎額)×0.5

 例えば電気自動車の「リーフ」は上限額が78万円、「i-MiEV」は72万〜96万円に設定されている。これに対してプラグインハイブリッド自動車の「プリウスPHV」は45万円と低めだ(図2)。

 仮にリーフで価格が一番安いモデルを350万円で購入したとすると、基礎額が202万3000円に設定されているため、(実売価格−基礎額)×0.5=73.85万円になる。上限額の78万円を下回るため、この低いほうの金額が補助金になる。それでもエコカー補助金の10万円と比べると、かなり有利なことが分かる。

 しかも地方自治体による補助金と重複して申請できるほか、エコカー減税も適用できる。リース方式で新車を購入する場合でも対象になり、補助金の相当分がリース料金から割り引かれることになる。

 現時点で上限額の最高は米国テスラモーターズの「ロードスター」で100万円である。ホンダが8月下旬に発売する予定の「フィットEV」は補助金の対象に入っていない。

図2 補助金の対象になるクリーンエネルギー自動車(2012年7月24日時点、クリーンディーゼル自動車を除く)。出典:一般社団法人 次世代自動車振興センター

ディーゼルは最高40万円、充電設備も150万円まで

 補助金の対象には環境性能の高いクリーンディーゼル自動車も含まれる。クリーンディーゼル自動車の場合は上限額が低めに設定されていて、最高でもメルセデスベンツの40万円である。とはいえ、エコカー補助金よりは大幅に高い。

 電気自動車の対象の中には原付タイプもある。先ごろセブンイレブンが宅配用に導入を決定して話題になったトヨタ車体の1人乗り電気自動車「コムス」は7万円まで補助金が出る。ただし自家用であることが条件で、宅配などの事業用の場合は適用できない。

 事業用でも補助金の対象になるのが電気自動車やプラグインハイブリッド自動車用の充電設備だ。個人のほかに企業や地方自治体でも申請できる。申請期限は自動車本体と同じで2013年3月7日の予定である。

 充電設備では急速充電器と普通充電器の両方が対象になる。急速充電器で19社、普通充電器で16社の主要な製品がリストアップされており、現在販売されている電気自動車用の充電器の多くが対象になると考えてよいだろう。

 補助金の算出方法は自動車本体と違って、購入価格の半額か上限額のどちらか低い方で決まる。上限額は急速充電器で28万〜150万円、普通充電器で13万〜40万円の範囲だ。

 例えば日産自動車が「Leaf to Home」の愛称で販売しているニチコン製の普通充電器は補助金の上限額が24万円に設定されている。日産の試算では、基本工事費6万円を含むメーカー希望小売価格が56万7000円で、補助金の上限額を適用できると32万7000円になる。

 リーフ本体と合わせると補助金の総額は102万円になり、およそ400万円の購入費が300万円程度で済む。さらに地方自治体の補助金やエコカー減税を加えられると、燃費(実際には「電費」)が安い分、通常のガソリン自動車とのコストの差を相当縮めることができそうだ。

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