トヨタもクルマから家庭へ電力を供給、プリウスPHV向けに年内に提供開始電気自動車

自動車から家庭に電力を供給する「Vehicle to Home」(V2H)の製品化が急速に進んできた。日産自動車が「LEAF to Home」を正式に発表したのに続き、トヨタ自動車が「プリウスPHV」向けのV2H対応システムを今年末に一部の家庭に提供することを明らかにした。

» 2012年06月04日 20時25分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 トヨタ自動車はプラグインハイブリッド車(PHV)の「プリウスPHV」を使って家庭に電力を供給するシステムを年末までに実用化する計画だ。デンソーやミサワホームなどと共同開発したHEMS(住宅向けエネルギー管理システム)やリチウムイオン蓄電池と組み合わせて、PHVに蓄えられた電力を家庭に供給する「Vehicle to Home」(V2H)を実現する(図1)。

ALT 図1 PHV(プラグインハイブリッド車)を活用した家庭向けの電力供給システム。HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)を使って家庭内の電気機器や太陽光発電、蓄電池や充放電スタンドを制御するほか、地域のエネルギー全体を管理するEDMS(エネルギーデータ管理システム)との連携も可能。出典:トヨタ自動車

 まず今年末までに愛知県豊田市で推進中の「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」に参加している約10世帯にV2Hシステムを設置する予定である。プリウスPHVを充放電スタンドと接続したうえで、家庭用の蓄電池や太陽光発電と合わせて、自給自足型の電力供給を可能にする。

 トヨタ自動車によれば、プリウスPHVの充電状態が100%でガソリンも満タンの状態の場合、一般家庭の電力使用量の約4日分に相当する40kWh(キロワット時)の電力を供給できるという。日産自動車が電気自動車のLEAF向けに5月30日に発売した「LEAF to Home」は24kWhの電力を供給できることから、トヨタのプリウスPHVを使ったV2Hは2倍近い電力供給能力をもつことになる。

 さらにトヨタ自動車は「充電した電力を使い切ってもハイブリッド車としてガソリンで走行することができるため、電力を住宅に供給しても、いつでも車両として走行することができる」と電気自動車の日産LEAFに対する優位点を強調する。

 V2Hは三菱自動車やホンダもスマートホームの実証実験の中で取り組んでいる。通常のクルマと比べて価格が高めの電気自動車やプラグインハイブリッド車を拡販するうえでも、V2Hの重要性が高まっていくとみられる。今年後半から来年にかけて、自動車メーカー各社による開発・販売競争が一気に加速する勢いである。

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