【スマートグリッド展2012】電気自動車は住宅の一部となっていく、応用例を各社が出展電気自動車

スマートグリッド展2012では、電気自動車の電力を家庭で利用するシステムなど、電気自動車を住宅の一部として活用する取り組みの展示が目立った。ニチコン、三菱電機、トヨタ自動車の3社の展示内容を紹介する。

» 2012年06月01日 19時42分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 ニチコンのブースには、会期中に発表となった日産自動車の“LEAF to Home”の展示があった。電気自動車(EV)「リーフ」の蓄電池に貯まっている電力を家庭用電源として利用可能とするシステムだ。会場には、リーフとともに、LEAF to Homeの要となるEVパワーステーションが展示してあった(図1)。

LEAF to Home 図1 ニチコンのブースには発表になったばかりのLEAF to Homeの展示があった

 LEAF to Homeと同様に、EVの蓄電池に貯まった電力を住宅で活用するシステムを展示していたのは三菱電機だ。同社は、EVの電力を住宅で利用する機能だけでなく、太陽光発電システムの電力を利用してEVの充電を可能にするという機能もアピールしていた。

 この機能を実現しているのは、同社が開発した「PV・EV連携パワコン」(図2)。太陽光発電システムの一部である「パワーコンディショナー」に電気自動車の充電器の機能を組み合わせ、電気自動車から電力を取り出す機能を追加したものだ。太陽光発電システムの発電量が多くなる晴天日の昼間は、太陽光発電システムからの電力を住宅に供給するだけでなく、電気自動車の充電にも電力を利用できる。

Mitsubishi 図2 三菱電機のブースには太陽光による電力をEVの充電に利用する機能を持つ「PV・EV連携パワコン」(左)の展示があった。EV充電機能を利用するには、右図の右側にある「ガンスタンド」(縦長の白い箱)と接続する。ガンスタンドは、充電アダプタとケーブル、そしてそれを収納する箱をセットにしたもの

 太陽光発電システムを組み合わせることで、停電時もEVへの充電が可能になっている。晴天日の昼間は太陽光発電システムの発電量が多くなるので、発電した電力をEVの充電に利用しながら、住宅内の家電製品に供給する。

 昼間でも曇天のときは発電量をあまり期待できない。このようなときは太陽光発電システムが発電する電力と、EVに貯めた電力の両方を家電製品に供給する。夜間は太陽光発電システムが発電しないため、EVからの電力だけで間に合わせる。

 上記のように気候と時間帯に合わせて電気の流れを制御することで、停電時でも電力を1週間以上利用できるという。

 トヨタ自動車のブースでは、プラグインハイブリッド自動車(PHV)の充電状況も合わせて管理するHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)「H2V Manager」の展示があった(図3)。

H2V Manager 図3 トヨタ自動車のブースでは、同社のHEMSである「H2V Manager」にPHV「プリウスPHV」を組み合わせて展示していた

 H2V Managerの主たる機能は、PHVへの充電時間を自由に設定する機能だ。深夜に充電するように設定することで、安価な深夜電力を利用し、電気料金節約を図ろうというものである。

 充電時間の設定を外出先から可能するという機能も備えている。H2V Managerの中心となる「H2V Controller」は無線LAN通信機能を備えており、家庭向けルーター「H2V Gateway」を通してインターネット上にあるトヨタ自動車が運営するデータセンターと通信する。ユーザーはパソコンやスマートフォンなどの機器でデータセンターにアクセスすることで、PHVへの充電状況の確認や、充電開始時間の設定変更などができる(図4)。

H2V Manager 図4 スマートフォンで、PHVへの充電状況を確認したところ。充電停止や時間設定などの操作も可能

 H2V Controllerは分電盤に流れる電力をセンサーで検知し、住宅全体の消費電力量を把握する機能も備える。消費電力量のデータはデータセンターに送信し、データセンターでデータを蓄積、分析する。このデータもデータセンターにアクセスすることで見ることができる。これで、HEMSの機能を実現している。

 今のところ、H2V Managerには、自動車が貯めている電力を住宅用電源として利用可能にする機能は備えていないが、説明員によるとその機能を提供する準備を進めているところだという。

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