冬の電力需給が厳しい北海道、追加の緊急対策でも不足の可能性電力供給サービス

北海道電力が今冬の電力不足を回避する対策を進めている。緊急時に使用する電源設備の建設などによって供給力を高める一方、大口顧客との間で電力使用量を削減する契約を拡大する。それでも需要が供給を上回ってしまう可能性があり、追加の対策を検討中だが、具体策は出てきていない。

» 2012年09月06日 09時20分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 冬の寒さが厳しい北海道ならではの傾向として、電力使用量は夏よりも冬のほうが圧倒的に多くなる。北海道電力の電力販売量を過去1年間にさかのぼって見てみると、最も多かったのは1月で、最も少なかった6月と比べて1.5倍に増加する(図1)。特に家庭を中心とする「電灯電力」の使用量が1月には6月の2倍に増えることが大きな要因だ。

図1 最近12か月間の北海道電力の電力販売量(単位:百万kWh)

 今年5月から泊発電所の原子力発電を停止しているため、1月に合計650万kWあった供給力が8月には485万kWに減っている。今年1月の最大需要(ピーク電力)は579万kWだったのに対して、現在までにメドが立っている来年1月の供給力は追加の電源設備を含めても592万kWという状況だ。余剰電力は2%程度しかなく、計画停電を実施する目安の3%を切ることになる。

 冬の最大需要を抑制する対策として、大口顧客との間で電力使用量を削減する「需給調整契約」を拡大して、15万kW程度を削減できる見通しである。これによって余剰率は5%近くになり、計画停電の可能性は低くなる。ただし今夏も各地で発生した火力発電所のトラブルなどが起こると、発電所1か所で供給力が30万kWくらい減少してしまうこともあり、余剰率は危険な水準まで下がってしまう。

 北海道電力は引き続き追加の対策を検討しているが、今のところ具体的な案は公表されていない。このままでは相当なレベルの節電目標を設定して、企業と家庭に大幅な節電を求めることになるのは必至の情勢だ。北海道の冬は電力が1日24時間を通して大量に使われ続けることから、夏の節電対策と違って朝や夜に有効な手段も必要になる。

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