風力発電で全国トップに、広大な土地や海岸を生かす日本列島エネルギー改造計画(1)北海道

いま全国の自治体で、地域のエネルギー供給体制を再構築するプロジェクトが進んでいる。再生可能エネルギーを最大限に活用した日本再生に向けて、47の都道府県ごとに最新の状況を紹介する新企画。すでに冬の節電対策が始まっている北海道を皮切りに、来春にかけて沖縄まで南下していく。

» 2012年10月02日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 北海道電力が今年の冬の電力不足を回避するために、緊急設置電源を増強中だ。冬の暖房や給湯に多くの電力を必要とする北海道では、昼間はオフィスや工場で、夜間は家庭や店舗で大量の電力が使われるため、ほぼ24時間にわたって安定した電力量を確保しなくてはならない。

図1 北海道の再生可能エネルギー供給量(2010年3月時点)。出典:千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2011年版報告書」

 最も安定的に電力を供給できるのは原子力だが、可能な限り再稼働は避けたいところだ。代替手段として再生エネルギーがあるが、北海道では太陽光発電はさほど普及していない(図1)。むしろ広大な土地や海岸を生かした風力発電の取り組みが進んでいる。

 都道府県別に風力発電設備の導入量を見てみると、全国でも青森県と1位、2位を争う状況にある(図2)。特に海岸地域で風の強い場所が数多くあり、今後の拡大余地も非常に大きい。7月から固定価格買取制度が始まったことにより、遊休地を活用した風力発電プロジェクトが道内で相次いで動き出している。

図2 都道府県別の風力発電設備の導入量(2012年3月)。出典:日本風力発電協会

 現在のところ北海道で最大の風力発電所は、最北端の稚内市にある「宗谷岬ウインドファーム」である(図3)。大型の風車が57基も建てられていて、合計で57MW(メガワット)の発電が可能だ。福島県にある「郡山布引高原風力発電所」の66MWに次ぐ国内第2位の規模を誇る。

図3 宗谷岬ウインドファーム。出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構

 すでに北海道には1MW以上の風力発電所が38か所もあり、さらに増え続けている。固定価格買取制度が始まってからの2か月間で、北海道にある風力発電設備が100MWも対象として認定された。これは全国で認定された風力発電設備の約4割を占める。

 今後ますます風力による発電量が増えていくことは確実で、その電力を東京に送る実証実験も始まろうとしている。“風力発電王国”の北海道が道内のエネルギー供給のみならず、他の地域の電力供給源になる日も近い。

2014年版(1)北海道:「太陽光発電で全国1位に躍進、日射量が豊富な地域に日本最大のメガソーラー」

2013年版(1)北海道:「再生可能エネルギー200%へ、風力を筆頭に太陽光や地熱も」

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