直管型LED照明、国内標準規格にどれほどの意味があるのかLED照明(1/2 ページ)

日本電球工業会が直管形LED照明向けに独自に策定した規格「JEL801」を、JIS(日本工業規格)標準とする動きがある。JEL801規格製品を販売する国内大手メーカーは、主に海外メーカーが製造しているG13口金を利用した製品には問題があると主張している。

» 2012年10月10日 09時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 国内の照明機器メーカー各社が加入する業界団体である日本電球工業会は、直管形LED照明向けに独自に策定した規格「JEL801」を、JIS(日本工業規格)標準とするために申請を出した(図1)。審査を通過すれば、来年にもJIS規格となる見通しだ。日本電球工業会は国内向けのJIS規格だけでなく、世界標準であるIEC規格とすることも視野に入れている。

図1 JEL801準拠製品の口金。L字型の2本の端子から電気を流す。もう一方の口金はランプを支えるためだけのもので、電気は流れない

 しかし日本国内では、蛍光灯向けの照明器具を改造して利用するLEDランプがかなり流通している。蛍光灯向けの口金の名称から、「G13口金対応品」と呼ぶことが多い(図2)。日本電球工業会は蛍光灯向けの照明器具を改造して利用することを問題視しており、改造の方法を誤ったりすると事故につながると警告している。

図2 G13口金対応品の例。蛍光灯と同じG13口金に挿し込める端子が出ている

 G13口金対応品が普及した最大の理由はその価格だ。例えば大塚商会はLEDランプと専用電源のセットを5040円で販売し、工事を1380円で手配している。1本当たりの導入コストは6420円だ。一方JEL801対応ランプの価格は1万2000円ほど。専用の照明器具を使わなければならないので、さらに器具のコストが発生する。価格で比較すると、G13口金対応品がかなり有利だ。

事故につながる危険は確かにあるが

 では日本電球工業会が言うように、G13口金対応品は事故につながる危険性が高いと言えるのか。答えはYESだ。しかしこれは、それぞれの製品の設置方法を理解すれば防げる。

 G13口金対応品はランプに電源を内蔵したものと、電源を外付けとしたものに分けられる。どちらの場合も、照明器具に付いている安定器は取り外す。電源を内蔵したものは、口金から交流電流を直接流すようにする。外付けの電源を利用するものは、蛍光灯の器具に電源を固定し、電源と口金を結線する(図3)。

図3 ロームが販売するG13口金対応品の改造方法、ランプに電源を内蔵するものは、安定器を取り外し、交流電源をソケットに直接流す(上)。電源を外付けとするものは、安定器の代わりに専用電源を取り付け、電源を交流電源とソケットに接続する(下)。どちらの場合も、片側のソケットにしか電流を流さない

 どの端子に電流を流すのかという問題もある。蛍光灯の片側2本だけに電流を流すものと、両側を利用するものがある(図4)。

図4 フィリップス ライティングが販売するG13口金対応品の改造方法。ランプが電源を内蔵しているので、安定器を取り外し、交流電流をソケットに直接流す。図3の場合と異なり、左右のソケットに電流を流す

ユーザーが改造方法を気にする必要はあるのか

 このようにG13口金対応品を使用するための改造方法は色々ある。万が一、改造方法に合わない製品を装着してしまうと、事故が発生する可能性は確かにある。

 しかしユーザーが照明器具を取り外して、改造することがあるのだろうか? このような場合は専門業者に依頼するのが普通だ。業者が改造方法を間違えたり、合わない製品を装着してしまうという可能性はほとんどないだろう。ユーザーとしては製品選びのときに、改造が必要か否かという点と、どのような改造が必要なのかという点をおおまかにとらえておけばよい。

 それでは、ランプを交換する場合はどうなるのだという方もいるだろう。しかし、一般的な直管形LEDランプの寿命は4万時間。週5日、1日10時間点灯させても10年以上使える。10年も使っていれば、ランプだけでなく照明器具の老朽化も心配になる。蛍光灯のように、寿命でユーザーがランプを交換するということは考えないほうが良いだろう。光の色が気に入らないから他社製品に交換するとなれば、改造のやり直しだ。どちらにせよ、ユーザーの手でランプを交換することはないと思った方がよい。

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