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» 2012年10月10日 09時00分 公開

LED照明:直管型LED照明、国内標準規格にどれほどの意味があるのか (2/2)

[笹田仁,スマートジャパン]
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JEL801規格に意味はあるのか

 JEL801規格の売りの1つとして、図1に挙げたようにほかのランプとは間違えようがない形の専用口金が挙げられる。しかし、この口金を使うために、ランプだけでなく照明器具も買い換えなければならない。照明器具の価格は形や取り付けられるランプの本数によって様々だが、安いものでも1万円程度になる。先述の通りランプの価格は1万2000円ほど。さらに交換工事にも費用がかかる。

 こうして考えるとJEL801規格品には、特別な形の口金のほかに良い所がないようにも見える。その口金の問題もユーザーが気にするべき問題とは言いにくい。しかしJEL801が規定しているのは照明器具やランプの形だけではない。ランプが放つ光の質についても細かく規定している。JEL801という規格の価値はむしろこの部分にある。蛍光灯を直管形LED照明に交換しても、光の見え方が変わることを避けたいのなら、JEL801準拠の製品を選ぶべきだろう。

蛍光灯と同じように光る光源を

 光の質についてJEL801が定める要件は、すべて「蛍光灯と変わらない光を放つ」ために規定したものだ。具体的には4つの要件がある。1つ目はランプ全体が放つ光の量。これは「全光束」とも呼び、lm(ルーメン)という単位で表す。

 JEL801ではランプの全光束は、2300lm以上でなければならないとしている。40型の直管形蛍光灯の全光束は2600〜3000lm程度。2300lmでは物足りないが、「最低限満たすべき性能」と考えればそれほど悪い値でもない。

 2つ目はランプが放つ光を拡散させることだ。LED照明の光源であるLED素子が放つ光は1つの方向に直進する性質が強い。ランプにそのままLEDを入れてしまうと、スポットライトのように狭い範囲しか照らさないものになってしまう。

 JEL801では蛍光灯にようにランプの側面全体から光を放ち、真下だけでなく、横方向や天井も照らすことを求めている。具体的にはランプの下方向120°の範囲に70%を超える光束を集めてはいけないとしている。30%以上の光束を横や天井に向けなければならないということだ。下だけでなく、壁や天井も照らすようになっていれば、蛍光灯と同じように周囲を広く照らしているように見える。

 3つ目は色の見え方だ。ランプが照らした物体の色をなるべく正確に見せることを求めている。色の見え方の正確さは、一般にRa(平均演色評価数)という単位で表す。数値が大きいほど色を正確に見せていることを示す。一般的な蛍光灯のRa値は80〜90。JEL801準拠のランプは、Ra値が80以上でなければならない。

 4つ目は光のチラつきに関する条件だ。ランプに流す電流波形が大きく波打ってはいけないとしている。大きく波打つと、ランプがちらつくからだ。

最低限の性能を見積もれないG13口金対応品

 このようにJEL801対応品は、どの製品を買ってもよく似た、蛍光灯に近い光を得られると見積もれる。これこそがJEL801規格の良い所だ。各社の製品のカタログを見ると、全光束や平均演色評価数の値が基準を大きく上回っているものもある。蛍光灯と変わらない、物体の色を自然に見せるということを最優先するなら、JEL801準拠品を選ぶべきだろう。

 一方、G13口金対応品のカタログを見ると、全光束の値も平均演色評価数の値もバラバラだ。JEL801のように「最低限満たすべき性能要件」がないからだ。高い値を示す製品もある一方で、低い値しか残せない製品もある。カタログやWebサイトを見ても、値を明記していないメーカーもある。JEL801準拠品なら、どれを買っても「これくらいの光」と見当が付くが、G13口金対応品は実物を見ないと、どのような光を放つか分からないのだ。

 しかしG13口金対応品を販売するある業者によると、「JEL801で定める性能要件を下回る製品でも大きな問題になることはない」という。例えば全光束の値が2000lmを下回っている製品でも、天井や横方向を照らさず、下方向を照らすことで、オフィスなどで使うには問題ない明るさになるという。

 平均演色評価数が75や70の製品も、「使う場所に注意すれば問題ない」という。オフィスの執務室で細かい色の見え方を気にする場面は少ない。そう考えると、平均演色評価数が多少低くても問題ない。廊下や階段、倉庫を照らすような用途でも平均演色評価数は問題にならないことが多いという。

 G13口金対応品は安価に導入できるが、使う場所をよく考えて性能を評価し、できれば実際に光る様子を確認してから導入すべきだろう。

JEL801がJIS規格になったら

 冒頭で日本電球工業会がJEL801をJIS規格とすべく、申請を出したと説明した。JIS規格として認められたら、何か良いことがあるのだろうか? JEL801準拠製品を販売するあるメーカーの製品担当者は「官公庁や自治体の入札条件として、『JIS規格準拠』の一言が入る可能性がある。そうなれば、JEL801準拠品だけが対象になる」という。

 全国の公立学校や自治体の庁舎で使用している蛍光灯を直管形LEDランプに入れ替えるとなれば、かなりの数になる。JIS規格認定に向けて申請を出した理由の1つには、このような大きな市場をJEL801陣営だけで分け合おうという意図があるのだろう。

 しかしG13口金対応品を販売するある企業の担当者は「入札条件に『JIS規格準拠』という一言が入る可能性があることは十分考えられる。ただし『既存の器具に取り付けられる』ことを条件に製品を探す自治体や企業もある。JEL801がJIS規格になったとしても、市場動向は大きくは変わらないのではないか」という。JIS規格になったとしても、現在のように交換コストがかなり高く付くようでは販売量増加は見込めないかもしれない。

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