照明を効率良く使う方法「タスク・アンビエント照明」キーワード解説

照明機器が消費する電力量を節約するために、LED照明に入れ替える企業が増えているが、それだけでは十分な節電効果を得られないこともある。「タスク・アンビエント照明」という手法を使えば、さらに消費電力量を削減できる。

» 2012年11月02日 13時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 タスク・アンビエント照明とは、人間が作業する机上を効率良く、十分に明るくすることを目的とした照明機器の利用法。

 オフィスにおける机上の明るさを定めた「事務所の照度基準(JIS Z91110)」では、パソコンのキーボードを操作するようなオフィスでは、机上の照度は750lx(ルクス)以上でなければならないと定めている。

 オフィスでこの基準以上に机上を明るくする方法は2つ。1つ目は一般的な方法だ。天井の照明を十分明るくして、机上を明るく照らすという方法。しかしこの方法では、机上から遠い天井にある照明で机上を照らすため、天井の照明を強く光らせる必要がある。天井の照明を強く光らせると、机上だけでなく必要のないところも均一に明るく照らす。当然、消費する電力量も増える。

 もう1つの方法は、近距離から机上を照らすという方法。机上にタスク照明を置き、明るく照らすという方法が一般的だ。この方法なら、近いところから机上を照らせばよいので弱い光でも十分明るくなる。

 タスク・アンビエント照明では、タスク照明などを利用して近距離から机上を照らす方法を採る。タスク照明には、光は弱いが消費電力量が少ないというものでも十分使えるため、最低限の電力で机上を明るく照らせる。

 天井照明は最低限の明るさを保つ程度まで暗くする。こうすることで天井照明で無駄な電力を消費することがなくなる。ただし、あまりに暗くしてしまうと机上の明るさと部屋の暗さの落差で眼が疲れてしまう。

 タスク・アンビエント照明は、一般的なオフィスで消費電力量を削減したいという場合だけでなく、天井が高く、天井照明だけでは机上を十分明るく照らすことが難しいような場所でも効果を発揮する。

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