節電目標「7%以上」、計画停電を回避するプログラムも準備法制度・規制

北海道の電力利用者に向けて「7%以上」の節電目標が設定された。実施期間は12月10日〜3月8日の3か月間で、大規模な火力発電所のトラブルなどが発生しても電力の供給不足に陥らないための措置である。企業に対しては緊急時の需要調整プログラムに協力するよう要請する。

» 2012年11月02日 14時43分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 すでに発表されていたことだが、この冬の電力需給は各地で予備率3%を上回る見通しで、計画停電の必要性はないと考えられている(図1)。ただし北海道だけは最悪の事態を想定して、2年前の2010年度比で7%以上とする節電目標が正式に決まった。

図1 2013年1月と2月の全国各地の需給見通し。出典:国家戦略室

 北海道は2月に電力需要が最大になると予想されており、その時の余剰電力は33万kW、予備率で5.8%と想定されている。ここで問題になるのは、大規模な火力発電所が停止すると供給力の低下が33万kWを超えてしまう可能性がある。その場合には本州から電力融通を受けることになるが、最大で60万kWの設備しかない(図2)。2010年度には火力発電所のトラブルによって供給力が137万kWも低下したことがあり、本州からの電力融通ではカバーしきれなくなってしまう。

図2 電力会社をつなぐ連系設備の規模。出典:国家戦略室

 こうした最悪の事態が発生した場合でも計画停電を回避できるように、北海道を挙げて7%以上の節電に取り組む必要があるわけだ。電力需要が増大する1月7日(月)〜3月1日(金)は平日の午前8時〜午後9時、その前後の12月10日(月)〜28日(金)と3月4日(月)〜8日(金)は午後4時〜9時を節電の実施期間にする。

 政府はLED照明への切り替えを含む節電メニューを、北海道の家庭と企業に向けて公表した。さらに大口の電力利用者である企業1100社に対して、予備率が1%以下になる場合に需要を削減する「計画停電回避緊急調整プログラム」(図3)に参加することを要請する。このプログラムによって33万kW以上の需要を削減できるようにする考えである。

 かりに1100社すべてが参加するとして、1社あたり300kWの削減が必要になる。中でも契約電力の大きい特別高圧(2000kW以上)を利用する企業の協力が不可欠だ。緊急事態に備えて営業・操業時間を午後4時までに終了できるような対策が求められる。

図3 「計画停電回避緊急調整プログラム」の内容と実施手順。出典:国家戦略室

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