電気料金の地域間格差が広がる、最大で単価が5割近い開きに電力供給サービス

関西電力に続いて九州電力も来年4月からの料金改定を申請した。今年9月に実施した東京電力を加えて3社が値上げに踏み切る。この結果、地域による電気料金の格差が広がり、商店・工場を対象にした契約メニューでは単価で5割近い差になるケースもある。

» 2012年11月28日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 電気料金は契約する電力の大きさで決まる「基本料金」と毎月の使用量で加算される「電力量料金」の2本立てになっている。関西電力と九州電力が申請した2013年4月からの改定案では、月額固定の基本料金を据え置いたまま、従量制の電力量料金の単価を大幅に引き上げる。すでに2012年9月に値上げを実施した東京電力と同様である。

図1 商店・工場向け「低圧」の料金比較

 もともと9つの電力会社では電気料金に違いはあったが、3社の値上げによって地域間の格差が大きく開く結果になる。特に値上げの影響が大きいとみられるのは、商店や小規模な工場を対象にした「低圧」(契約電力50kW未満)の場合である(図1)。

 低圧の単価が最も安い北陸電力(夏季11.48円)と、値上げによって最も高くなる九州電力(同16.93円)では、実に47%の開きが生じる。東京電力や関西電力との間でも4割前後の差が出る。北陸電力は基本料金が高めだが、それを加味しても地域間の格差は大きい。

 同様に他の契約メニューでも地域間格差は拡大している。電気料金の安い隣接する地域の電力会社と契約する「越境」のニーズが利用者の間で高まることは確実だろう。

 今後さらに他の電力会社が値上げに踏み切ることは予想されるものの、一部の電力会社は当面の値上げを実施しない見通しだ。地域間の料金格差が電力市場に競争をもたらすきっかけになる可能性もある。

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