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» 2012年11月30日 09時00分 公開

エネルギーを賢く利用するスマートハウス基礎講座(3)(2/2 ページ)

[渡辺直哉/旭化成ホームズ,スマートジャパン]
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約10%の省エネ効果が期待できる

 節電という意味では、まずは現状把握が重要だ。月に1度の検針票を見るだけでは、一体どこにどれだけの電気が消費されていたのかが分からない。HEMSがあれば、各部屋や各家電で、どのくらい使ったのかが分かり、使用量の多い部分に対して重点的に節電対策を講じることができる。HEMSを囲んで省エネ行動に関して話し合う家族もあるほどだ。

 その努力の結果をモニターで随時確認することができるのも大きなポイント。今までの検針票では、せっかく節電対策を講じても効果が明確に分からず、なんともスッキリしなかった。HEMSがあればすぐにその効果を確認することができるので、持続的に対策を講じることができる。家族のみんなに注意を喚起し続けることもできるのだ。

 この「見える化」によって住まい手に省エネ意識が喚起され、省エネ行動につながっていく。ある調査によれば、HEMSを利用することによって約10%の省エネ効果があるという。

 HEMSの端末としては専用モニターだけではなく、タブレットやスマートフォン、パソコンを使用するケースも増えている。最も期待されているのがテレビによる活用だ。家の中心に鎮座するテレビで、番組を選択するがごとくリモコン操作でHEMSを利用できるようになる日もそう遠くはない。高齢者や女性にも操作しやすいことが普及への第一歩になる。

 しかし、これだけではホーム・エネルギー・マネジメント・システムというよりは、ホーム・エネルギー・モニタリング・システムといったほうが的を射ている。現在の技術や法制度のもとでは致し方ない点もあるが、今後はさらなる機能アップが期待されている。

モニタリングからマネジメントへ

 まずは、文字通りのマネジメント機能への期待だ。電気を「つくる」「ためる」「つかう」設備には、様々な機能が介在している。人の手では制御不能な部分もあり、組み合わせて効率的に使用するには困難が伴う。そこでHEMSがこれらのさまざまな機能を一元的に管理して、エネルギー消費の最適化を図るシステムに発展することが期待されているのだ。

 さらには1戸の住宅で完結するのではなく、複数戸のHEMSが連携し、隣近所や地域のコミュニティまでを含めたエネルギーの需要と供給を制御できるようになれば、マクロ的な視点でエネルギー需給の最適化を図ることが可能になる。むしろ、このマクロ的な視点によるエネルギー制御の方が社会的意義は大きく、エネルギー問題に大きく貢献することになるだろう。

 その一方で、HEMSはエネルギーにかかわる機能に限定されるわけではなく、今後はさまざまなサービスに発展する可能性を秘めている。そのひとつが見守りサービスである。

 家電や住宅設備機器の仕様や履歴、電気使用量やドアの開閉といった生活空間に存在している機器情報を活用して、新たなサービスを創出することも可能である。例えば、以下のようなサービスが想定される。

  • 離れて住んでいる高齢の親の家で使用するガスや火の元、戸締りなどを確認。
  • 使用頻度の多い機器や玄関扉の開閉状況など日常的な動作の有無と時間を遠隔で確認できる。共働き世帯にとって留守番中の子供をさりげなく見守ることも可能。
  • 身体のバイタルデータを自動取得・記録し、必要に応じて病院とのデータ連携により在宅医療に発展。

 次に、家電機器や住宅機器に関する新しいサービスがある。特に機器や設備のトレーサビリティおよび遠隔診断が想定される。

  • 定期点検が必要な機器に対してユーザーやメーカーへの随時周知。
  • 機器の運転情報を収集して故障を予測。
  • テレビや暖房の不良時の遠隔診断。
  • 家電トレーサビリティの確保による、リサイクル時やリコール・事故時の円滑な回収。

 最後に、コミュニケーションツールとしての利用が考えられる。上記の家電機器のサービスなどは、情報の一方通行よりは双方向のコミュニケーションの方が利便性は高くなる。

 住まい手にとってはHEMSを介して依頼や相談ごとをストレスなく伝えることが可能になる。受け手にとっても、その応答は電話やメールによる問い合わせなどよりも数段上のスピードと質でサービスを提供できる。そのほかにもさまざまなデータを収集しながら、各社独自のサービスに結び付けていくことが考えられる。

 次回はスマートハウスの総括として、スマートハウスを本当にスマートに活用するには一体どのように住まうべきか、どのような住まいが望ましいのか、について解説する。

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