日本初、複数のビルで連携してデマンドレスポンス実験エネルギー管理

「横浜スマートシティプロジェクト」を推進している横浜市は、プロジェクトに参加している建物の中から複数のオフィスビルと商業ビルを対象に、デマンドレスポンスの実験を実施する。それぞれのビルが備えるBEMSと、統合管理する統合BEMSなどが連携して、20%のピークカット実現を目指す。

» 2013年01月09日 15時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 実験に参加する企業は、東芝、大成建設、明電舎、日揮、丸紅、三菱地所、三井不動産の7社。東芝はCEMS(地域エネルギー管理システム)と各ビルが備えるBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を制御する統合BEMSの運用を担当する。ほかの企業は実験対象ビルのBEMS運用という形で参加する。

 対象となるビルは大成建設技術センター(横浜市戸塚区)、横浜ワールドポーターズ(横浜市中区)、イトーヨーカドー横浜別所店(横浜市南区)、みなとみらいグランドセントラルタワー(横浜市西区)、横浜ランドマークタワー(横浜市西区)、横浜三井ビルディング(横浜市西区)の6軒。それぞれのビルが備えているBEMSは統合BEMSにつながっており、統合BEMSは地域のエネルギー管理と配分を担当するするCEMSにつながっている(図1)。

図1 横浜スマートシティプロジェクト全体と、各ビルのBEMS、統合BEMS、CEMSの関係。出典:横浜市

 デマンドレスポンス実験は、2013年1月8日〜2月22日の間に10回程度実施する。時間帯は平日の17時〜20時。前日夜の天気予報から、最高気温が8度以下と予想できる日のピーク時間帯にデマンドレスポンスを実施する。

 デマンドレスポンスを実施するときはCEMSから統合BEMSに節電依頼、つまりデマンドレスポンスの信号を送る。統合BEMSは管理下にあるビルのBEMSと通信して、それぞれのビルの節電可能な範囲に応じて節電を要請する(図2上)。節電余力がないビルがある場合は、ほかのビルが余計に節電する(図2下)。

図2 CEMSからデマンドレスポンス要求を受け取った統合BEMSは各ビルの節電余力に応じて、節電要求を出す(上)。節電余力がないビルがある場合は、ほかのビルが肩代わりする(下)。出典:横浜市

 今回の実験では、ピーク時に各ビルの合計電力使用量を20%減らすことを目標としている。CEMSと統合BEMSの運営を担当する東芝は、今後デマンドレスポンスに協力したビルへの対価を検討するほか、デマンドレスポンス発動時にどの程度のピークカットを見込めるかなどさまざまなデータを蓄積し、検証していくことを予定している。

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