夏に入り、経済産業省からBEMSアグリゲータの認定を受けた各企業は、製品の売り込みを本格化させてきた。パナソニックESエンジニアリングの協力企業であるパナソニック システムソリューションズ ジャパンは、新たに補助金対象となったBEMSの受注を始めた。
パナソニック システムソリューションズ ジャパンは2012年7月11日、BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の新製品「エコ見える化システム(BEMSバージョン)」を発表し、受注を始めた。経済産業省の「平成23年度エネルギー管理システム導入促進事業費補助金(BEMS)」の補助対象システムに新たに加わったシステムだ。
7月末から出荷開始する予定。価格はオープン。参考価格(最小構成)は250万円。この場合、月々の利用費は1万2000円となる。利用費はシステムの規模によって変わる。
この製品は、同社のエネルギー消費量監視システム「エコ見える化システム」に空調や照明などの機器を制御して消費電力量を抑制する機能を追加したもの。最大の特長は空調、照明に加えてPCやサーバなどのコンピュータ関連機器の電力消費量を監視し、必要に応じてスリープモードに移行させたり、停止させる機能を備えている点だ。
OSがWindowsの場合、Windowsの電力設定機能を利用できる。例えば、一定時間操作していないPCは、ディスプレイの電源を切る、さらに操作しない時間が続いたらスリープモードに移行させるといったことが可能になる。ほかのOSの場合は、Windowsのように細かく制御せずに、停止させる。
事前に決めた電力消費の目標値を上回らないように、機器の運転状態を制御するというBEMSの基本的な機能を備えているほか、電力会社の供給能力に対する需要が逼迫しているという警告を受けて、自動で機器を制御する機能も備える。この機能により、需要逼迫時に強制的に消費電力量を抑えることが可能になる。ユーザーは導入時に強制的な機器制御に同意すれば、機器の価格の1/2に当たる補助金を受給できる。強制制御を拒否し、手動による節電で対応する場合は補助率は1/3となる。
各BEMSアグリゲータが提供している製品と同様、このシステムも計測した消費電力量のデータをデータセンターに送信するようになっている。需要逼迫時の自動制御もデータセンターからの指示を受けて実行する。
消費電力量のデータはデータセンターにWebブラウザでアクセスすることで確認できる。時間帯ごと、分電盤の回路ごとなど、さまざまな方法でデータを分類して表示できる。さらに、消費電力量削減のシミュレーション機能も提供する(図1)。例えば、特定の回路に注目して、この部分の消費電力量を抑制したらどういう結果が出るかということを計算できる。シミュレーションの結果に応じて、回路ごとに電力消費量の目標値を設定し、その値を超えないように機器を制御させることも可能。
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