事業仕分けで停止していた地熱調査が再開自然エネルギー

石油や天然ガスの探査、掘削などの事業を展開する石油資源開発は、北海道標津郡標津町で地熱発電の事業可能性を探る調査を始めることを明らかにした。この調査は2010年度に民主党政権の「事業仕分け」により中断を余儀なくされていた事業だ。

» 2013年01月23日 07時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 石油資源開発が調査するのは標津町の「武佐岳地域」(図1)。すでに石油資源開発と独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がある程度調査を進めており、地熱発電が十分可能な280℃を超える高熱の地層が存在することが明らかになっている。

図1 武佐岳地域は北海道の東端近くに位置する。出典:石油資源開発

 今回再開する調査では、高熱の地層がどの程度広がっているのかということなどを調べる。調査期間は2013年6月から3年間。8月から調査のための井戸の掘削を始める。石油資源開発は武佐岳地区の地熱を利用することで、出力15MW程度の地熱発電が可能と見ている。

 この調査は2010年まで続いていたが、民主党政権の「事業仕分け」の結果、事業中断となっていた。地熱発電の開発にはあまりに長い時間と費用がかかるなどの理由から「廃止を含む抜本的改善」という結論になったのだ。

 石油資源開発は、武佐岳地区で地熱発電所をおよそ10年後に運転開始することを目指すとしている。事業仕分けであまりに長い時間と費用がかかるという指摘を受けたことは確かだが、地熱発電は燃料を使わずに発電できるという長所がある。長い時間がかかっても、大きな費用がかかっても、運転を始めてしまえば発電コストはどんどん下がっていく。気長に運転開始を待ちたいところだ。可能ならば、技術の進歩で運転開始までの期間が短くなることも期待したい。

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