新型の火力発電が相次ぎ運転開始、東京電力の供給力が大幅に増加電力供給サービス

東京電力の主力電源のひとつである川崎火力発電所の設備更新が順調に進んでいる。合計で6基の火力発電設備のうち4基目が出力50万kWで2月1日に本稼働を開始した。残る2基は2016年から2017年にかけて本稼働する予定で、現在よりも供給力が142万kW増加する。

» 2013年02月04日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 このほど本稼働(電力会社では「営業運転」と呼ぶ)を開始したのは、川崎火力発電所の「2号系列第1軸」である。燃焼温度1500度のガスコンバインドサイクル方式による最新の火力発電設備を導入した。天然ガスを従来よりも高温で燃焼させることによって、少ない燃料で発電することができ、同時にCO2の排出量も少なくなる。東京電力によると、従来の方式と比べて燃料とCO2排出量の両方を約25%も削減できる。

 東京電力は2000年代に入って古い火力発電所の更新を進め、燃焼温度を上げて効率を高めた設備を順次導入している。最新鋭の燃焼温度1500度によるMACC(More Advanced Combined Cycle)方式の設備を2009年に川崎火力発電所に初めて設置した(図1)。現時点で1号系列の3基と今回の2号系列の1基を合わせて、4基で200万kWの電力を供給できる体制になっている。

図1 火力発電設備の熱効率の向上。出典:東京電力

 さらに2号系列の残り2基を2016年7月と2017年7月に本稼働させる予定だ。燃焼温度を1600度まで高めたMACCIIにより1基あたりの発電能力を71万kWに高める。この2基だけで原子力発電所の1基分を大幅に上回る供給力になる。

 火力発電所は本稼働にあたる営業運転の9か月ほど前から試運転を始めるのが一般的で、その時点からほぼ100%の出力を発揮できる。計画通りに進めば、川崎火力発電所の供給力は2016年中に142万kWを増強して合計342万kW に達する見込みだ。

 東京電力の供給力は2012年夏のピーク時で5500万kW程度あり、原子力発電所を再稼働させなくても余裕をもって需要をカバーすることができた。川崎火力発電所の増強により、2013年夏以降の供給力にも不安がなくなってきた。

図2 東京電力の川崎火力発電所。出典:東京電力

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