蓄電池を搭載した省エネ型の「バッテリー電車」、JR各社で走行試験が進む蓄電・発電機器

日本の鉄道でも電化されていない路線は意外に多い。これまではディーゼルエンジンで車を走らせるのが一般的だったが、新たに電気自動車と同様のリチウムイオン蓄電池を搭載して充電した電力で走る「バッテリー電車」の開発・走行試験が各地で進んでいる。

» 2013年03月13日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 JR西日本は兵庫県内を走る山陽本線の一部の区間を使って、「バッテリー電車」の走行試験を2月に実施した。バッテリー電車は電気自動車と同様に、リチウムイオン蓄電池に充電した電力を使ってモーターを駆動させて走ることができる。

 駅や車両基地に停車中に架線から蓄電池に充電するのに加えて、走行時のブレーキ中に発生する回生電力も蓄電池に充電することが可能なため、省エネ型の電車として注目を集めている(図1)。

図1 バッテリー電車の回生ブレーキによる充放電。出典:JR西日本

 特にバッテリー電車が必要になるのは、線路上に電力を供給するための架線が敷かれていない「非電化」の場合である。実は日本国内でも非電化の路線が4割近くもあって、大半は石油を使ったディーゼルエンジン車を走らせている。これをバッテリー電車に切り替えることができれば、燃料費を約50%も節約できるほか、電化の路線と非電化の路線で同じ車両を使った直通運転が可能になる。

図2 蓄電池と発電機を搭載した車両。出典:近畿車輛

 JR東日本やJR九州でもバッテリー電車の走行試験を実施する一方、各社は蓄電池の小型化や低コスト化を図りながら実用段階へと進めていく計画だ。

 長時間にわたって電力を供給できるように、蓄電池だけではなく小型のディーゼルエンジン発電機を搭載したハイブリッド型の車両も開発されている(図2)。

 電気料金の値上げを含めてエネルギー問題が経営に与える影響はどんどん高まっている。鉄道会社が使用するエネルギーのうち約8割は列車の運行用で、バッテリー電車をはじめとする省エネ対策が急務になっている。

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