北海道電力にとって初めての天然ガスによる火力発電所の建設計画が進み始めた。北海道ガスが運営するLNG(液化天然ガス)基地に隣接する場所に、3基のガスコンバインドサイクル発電設備を導入して、160万kWの供給力を実現する計画だ。2019年から順次運転を開始する
北海道電力が保有する発電所の大半は石油による火力発電で、しかも運転開始から40年以上を経過した古い設備が多く、トラブルによる停止が頻繁に起こっている。今後は天然ガスを燃料にした高効率のコンバインドサイクル方式が火力発電の主流になることから、新たに「石狩湾新港発電所」を建設して最新の設備を導入する(図1)。
新発電所では1基あたり50万kW級のガスコンバインドサイクル発電設備を3基設置する。合計160万kWの供給力を発揮できるようになる。1号機は2015年9月に工事を開始して、2019年2月から営業運転を開始する。2号機は2021年12月、3号機は2028年度に営業運転を開始する予定だが、状況によって早まる可能性もある。
北海道電力の発電所は運転停止中の「泊発電所」(原子力)を除くと、大規模なものは石炭か石油を燃料にしている。天然ガスによる石狩湾新港発電所が全面稼働すると、「苫東厚真発電所」(石炭)に次ぐ3番目の出力規模になる(図2)。燃料費が高い石油を使った古い火力発電所、あるいは安全性が問題視される原子力発電所を稼働させずに済む。
天然ガスを使ったコンバインドサイクル発電はCO2の排出量が石炭や石油の半分程度に抑えられることに加えて、発電機の起動時間や出力調整時間が短いため、電力需要に対応して供給力を変動させやすい利点がある。すでに東京電力や関西電力が複数の発電所に導入して供給力の増強とCO2排出量の削減を進めている。
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