2013年度の「再エネ賦課金」、実質0.1円/kWhの増加に収まる法制度・規制

再生可能エネルギーの拡大に伴って「賦課金」の増加が問題視されている。電力会社が発電事業者から買い取った分の差額を電気料金に上乗せするもので、買取金額が増えるに従って賦課金も増えていく。2013年度の賦課金が決まったが、2012年度から約0.1円/kWhの増額である。

» 2013年04月01日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 なんとしても原子力発電所を再稼働させたい電力会社と関連業界の経営幹部が常に取り上げる問題が2つある。1つは火力発電の増加で燃料費が増えること、もう1つは再生可能エネルギーの増加で賦課金が増えることだ。どちらも電気料金を高くする要因になる。

 この賦課金の正式名称は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」で、毎年5月から1年間の単価を国が全国一律に決定することになっている。その年度の買取総額を想定して算出するもので、2013年5月〜2014年4月の単価は0.35円/kWhに決まった(図1)。

 家庭向けの電気料金の単価が20円前後、企業向けが平均10〜15円程度であることを考えると、2〜4%の上乗せになる。安全な再生可能エネルギーを普及させるための負担額としては許容範囲内だろう。

図1 再生可能エネルギーの買取制度に伴う賦課金単価

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度は2012年7月に始まり、初年度の賦課金は0.22円/kWhだった。ただし賦課金の仕組みには複雑な要素がある。固定価格買取制度が始まるまでは太陽光発電の買取制度があり、現在でも「太陽光発電促進付加金」が電気料金に上乗せされている(図2)。

図2 電気料金の加算項目。出典:北海道電力

 太陽光発電の付加金は電力会社ごとに差があって、2012年度は最高が九州電力の0.15円/kWhで、最低は北海道電力の0.03円/kWhだった。すでに制度そのものは終了しているが、2012年1月以降の買取分に対する付加金を2013年度に適用することになっているため、引き続き電気料金に加算される(図3)。

図3 賦課金の適用期間。出典:北海道電力

 ただし買取量は半年分しかなく、多くの電力会社で付加金の単価が2013年度は安くなる。例えば最も高い九州電力は0.15円が0.09円に下がる。このため再生可能エネルギーの賦課金と合わせた上乗せ分は2012年度の0.37円から2013年度は0.44円に増えるだけである。

 電力会社10社の平均をとると、0.303円から0.404円へ、約0.1円の増額になる。月間に300kWhの電力を使う標準的な家庭で月額30円程度の増加で済む。太陽光発電の付加金が減らない東北や関西でも40円以下である。大げさに問題視するほどの金額ではない。

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