ガスコージェネと太陽光発電を導入、ショッピングモールで40%のCO2削減と防災対策スマートショップ

太陽光発電の導入を積極的に進めるイオンが、大阪市に開業するショッピングモールを防災対応型の店舗にするために、大型のガスコージェネレーションを導入した。太陽光とガスを組み合わせたシステムも併用して、災害や天候の影響を受けにくいエネルギー供給体制を実現する。

» 2013年05月22日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 イオンは5月31日に「イオンモール大阪ドームシティ」を開業する。この大規模なショッピングモールに大型のガスコージェネレーションや太陽光発電システムを組み合わせた自立分散型のエネルギー供給体制を構築して、同社初の防災対応型店舗を実現する予定だ(図1)。CO2の排出量も従来の店舗と比べて約40%削減できる見込みである。

図1 「イオンモール大阪ドームシティ」の電力供給システム。出典:イオン、大阪ガス

 導入するガスコージェネは発電能力が815kWある大型のシステムで、2台を屋上に設置した(図2)。合わせて1630kWの発電能力により、ショッピングモール全体で使用する電力の約3分の1を供給することができる。

図2 屋上に設置したガスコージェネレーション。出典:イオン、大阪ガス

 さらに非常用の発電機を備えていて、停電時でもガスコージェネの稼働を続けることが可能だ。防災面で重要な店舗や事務所の照明、冷凍・冷蔵ケース、ポンプ類などに限定して電力を供給する。

 コージェネは電力と同時に熱を使った冷暖房が可能なため、ショッピングモール内の空調にも利用することができる。電力と熱を合わせたエネルギー効率は75%に達し、通常のガス火力発電(40%程度)と比べて2倍近い高効率になる。それだけCO2の排出量を削減することにつながる。

図3 太陽光パネルとガスヒートポンプを組み合わせた「ソーラーリンクエクセル」。出典:イオン、大阪ガス

 加えて太陽光発電もガスと組み合わせて活用する。屋上には太陽光パネルのほかに、発電機能付きのガスヒートポンプエアコンを設置した(図3)。ガスヒートポンプエアコンはコージェネと同様に電力と熱を供給することができ、さらに「ソーラーリンクエクセル」と呼ぶシステムによって太陽光発電と連携を図ることができる。晴天時には太陽光による電力、曇天時にはガスヒートポンプによる電力を増やして、天候にかかわらず安定した電力供給を可能にする仕組みだ。

 イオンモール大阪ドームシティは隣接する「京セラ大阪ドーム」をはじめ周辺の各施設に導入されているガスコージェネとも連携して、地域全体の冷暖房ネットワークを形成する(図4)。ショッピングモール内で使いきれなかった熱を大阪ガスが運営する地域冷暖房プラントに融通することで、ほかのビルの冷暖房に活用できる。

図4 ガスコージェネレーションの排熱を利用した地域冷暖房システム。出典:イオン、大阪ガス

 ガスの供給を受けるための導管には耐震性の高い「中圧ガス導管」を採用した。ガスは電力と同じように、ガス会社のタンクから高圧で送り出され、途中で「整圧器」によって中圧、さらに低圧に変換されてビルや家庭に届く(図5)。使用量の多い工場などには中圧のまま送られるが、イオンモール大阪ドームシティに設置したガスコージェネも中圧で供給を受ける。

図5 ガスを供給する仕組み。出展:大阪ガス

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