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» 2013年05月24日 09時00分 公開

100kW級のバイナリー発電が競う、低価格か高信頼性か発電・蓄電機器(2/4 ページ)

[畑陽一郎,スマートジャパン]

量産によるコスト減を狙う

 「当社は小型のバイナリー発電機を量産しやすいよう標準化、モジュール化し、パッケージにまとめた。インストールも容易だ。既に全世界で20MW分を販売している」(米Access Energyの会長・社長兼CEOのVatche Artinian氏)。

 太陽光発電や風力発電はシステムを標準化することで量産に対応している。もちろん設置場所に応じた設計や工事は必要だが、電力を得るユニット自体はカスタム設計より標準設計の方が圧倒的に多い。同一品を大量に生産できれば量産効果が働き、安価になる。同時に生産時の不良品発生率も下がる。

 だが現在のバイナリー発電は、このような流れに乗ってはいないのだという。特に直接地熱を扱うようなシステムは巨大であり、ユーザーごとに設計を変えているため、低コスト化が難しいというのがVatche Artinian氏の指摘だ。

 同社のシステム「Thermapower 125MT」(図3)は、135℃の熱源の場合、出力125kW(電力)を得られる。ユニットは285×117×200cmと小型であり、このまま現場に搬入して、熱源とパイプなどで接続するだけで利用できる。「当社はAccess Energyから購入したThermapower 125MTを山梨県笛吹市にあるユーザーの焼却炉に実証実験を目的として設置した。重量が2.6トンと軽いため、クレーンで3階相当の位置までつり上げて搬入、パイピングなども含めて約3カ月*3)で運転に至った」(第一実業)。

*3) 2012年7月に第一実業がAccess Energyと交渉を開始、同10月に設置を完了。「工場に在庫があれば、機器の設置時間は確かに早い。ただし、全量買取制度関連の許認可で約3カ月を要する。工事計画書も官庁へ着工1カ月前に提出しなければならない」(第一実業)。

図3 バイナリー発電機「Thermapower 125MT」

 図3の左上に見える緑色の部分がタービン発電機。中央下にみえるのはタービンを通過した作動流体の低圧蒸気が、復水器から戻ってきた液化した作動流体に熱を受け渡すエコノマイザーだ。装置の裏面には復水器から戻ってきた作動流体をためるレシーバータンクや、磁気軸受を制御するコントローラ−、交流直流変換器などが配置されていた。

 同システムを稼働させるためには、ユーザー側で複数の周辺機器を用意する必要がある。熱源からの熱を受けて作動流体を気化させる蒸発器の他、作動流体を液化する凝縮器や冷却塔である。いずれも大型の装置であり、既存の設備が使える場合もあるが、そうでない場合も多い。さらにパイプ敷設工事が必要だ(図4)。「このためThermapowerの導入費用には幅があり、6000〜7000万円である」(第一実業プラント・エネルギー事業本部エネルギープロジェクト部で部長を務める五十嵐進氏)*4)

*4) 出力に対して導入費用が低いことから、Access Energyは設置条件が良い場合、48カ月以内にThermapowerの投資回収が可能だと主張する。

図4 Thermapowerと周辺機器の関係。出典:第一実業

 図4では図3と正反対の方向からThermapowerを見ている。線画にある肌色の部分がThermapower内部の仕組み。外部が周辺機器だ。周辺機器は左から蒸発器、凝縮器、冷却水ポンプ、冷却塔である。

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