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» 2013年05月24日 09時00分 公開

100kW級のバイナリー発電が競う、低価格か高信頼性か発電・蓄電機器(3/4 ページ)

[畑陽一郎,スマートジャパン]

国内は焼却炉に市場がある

 Access Energyのシステムはさまざまな用途を狙えるという。石油ガス産業の副産物である熱水からのコプロダクションの他、エアやガスを圧縮して発熱するコンプレッサー、天然ガスの不純物除去処理(アミン処理)、石油精製時のガス燃焼、船舶用エンジンのシリンダーの周囲に設けられた冷却水(ウォータージャケット)、地熱、太陽熱、エンジンのターボチャージャーなどさまざまな機器と組み合わせて利用できるとした。

 現在の主要顧客は米General Electronicsのエネルギー部門*5)であり、レシプロエンジンやバイオマスボイラー、発電用ガス・蒸気圧タービンなどと組み合わせて使われている。米Capstone Turbineではマイクロタービンと組み合わせた採用形態を採った。

*5) 内燃機関向け装置の排他的権利をGeneral Electronicsにライセンスしており、2010年には内燃機関向け装置を製造していた工場をGeneral Electricsに売却している。

 日本向けでは第一実業が焼却炉向けに販売を開始している。この他、船舶用エンジンのウォータージャケットに向けた日本のOEMベンダーとも契約を締結済みだとした。地熱発電と産業廃熱についても顧客と交渉中だという。

 第一実業は、山梨県の実証実験に続いて、3件の契約を顧客と結んだ*6)。「全て焼却施設向けだ。2013年度内には確定案件を含め、15基の受注を見込む。これは焼却施設と地熱発電併設である」(第一実業の五十嵐氏)。

*6) 資源エネルギー庁次世代熱利用設備緊急導入対策補助金案件であり、2013年3月に2案件、3基を申請した。

 Access Energyの技術が受け入れられやすい市場は3つあるという。第1に焼却炉、第2に温泉、第3が産業廃熱だ。

 環境省の調査によれば、国内の産業廃棄物焼却施設は1414カ所あり、そのうち、69%が廃熱を利用していない。さらに23%は廃熱を利用していても発電はしていない。発電を実施しているのはわずか7%(106件)だけだ。市町村などが設置したゴミ焼却施設の余熱利用も少ない。1269カ所のうち、廃熱を利用していないものが33%、利用していても発電していないものが43%、発電しているのは24%だけだ。

 「当社のシステムはどちらの施設にも全て対応できると考えている。米国では廃棄物は埋め立て処理(land-fill)される。日本はゴミ焼却では世界最大規模だと考えており、焼却炉市場が大切だ」(Access EnergyでManaging Directorを務めるHerman Artinian氏)。

 同社は、日本で開発が可能な地熱発電能力を3700MWと見積もった。そのうち、33MWは熱源が120℃以上であり、Thermapower技術で全てまかなえるという。850MWは熱源の温度が55〜120℃であり、同社の技術で50%はカバーできると見積もった。それ以外の2817MWの市場のうち5%も適用可能だという。

 産業廃熱市場は工業用ボイラーが規模としては大きいという。同社はセメント工場にも期待を見せた。

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